日本不整脈心電学会

HOME > 学会案内 > 理事長挨拶

理事長挨拶

President

 このたび、一般社団法人日本不整脈心電学会の2期目となります第5代理事長を拝命させていただくこととなりました。本学会は、日本心電学会(1983年設立)と日本不整脈学会(1986年設立)が、2015年6月に統合して誕生した学会ですが、前身を含めると39年の伝統を誇ります。このような歴史ある学会の代表を引き続き務めさせていただくことは、大変光栄であり、改めてその重責に身の引き締まる思いです。本学会は内科医師だけでなく、心臓血管外科、小児科、基礎医学、医工学、メディカルプロフェッショナル(臨床工学技士、臨床検査技師、看護師、診療放射線技師、薬剤師、CDR)など、不整脈診療に携わる多彩な会員によって構成されています。会員数は2022年9月1日現在11,277名、不整脈専門医1,235名に上り、循環器病学のサブスペシャリティーの中でも最大規模の学会です。

 現代の不整脈学が担う領域は、カテーテルアブレーション、不整脈デバイス治療(植込み型除細動器・心臓再同期療法・遠隔モニタリング)、不整脈外科手術などの非薬物治療、薬物治療、遺伝性不整脈の遺伝子診断などに拡大し、かつこれらの進展には目覚ましいものがあります。特にアブレーションや不整脈デバイス治療では、高度な先進医療機器を取り扱うことが多く、メディカルプロフェッショナルの参画を得た多職種によるチーム医療が大変重要です。また、遺伝子診断や電気生理学の深い理解には、基礎医学の充実が必須です。このように多種多様な側面をもつ本学会が偏りなく発展するよう、理事長として全力を尽くします。

 第4代理事長として、理事、代議員をはじめとする学会員皆様のご協力とご尽力を頂戴し、この2年間に以下のような様々な問題に取り組んで参りました。しかし、何れもまだ道半ばであり、さらにこれらを推進して参ります。

1.本学会では、カテーテルアブレーションや植込みリード抜去の全例登録を目指すJ-ABレジストリやJ-LEXレジストリなど世界に誇るいくつかの登録研究を行っています。このような登録研究を迅速に立案、実行するために、学会内に研究倫理審査委員会を設立しました。今後は、これらの貴重なデータを国内だけでなく世界に発信するとともに、IT/データベース委員会が中心となって信頼できるデータベースを構築し、アブレーション機器などの市販後調査にも活用していく予定です。

2.新専門医制度開始に伴い、専門医制度委員会でWGを作成し、循環器内科専門医と連携を取りつつ、不整脈専門医のプラットフォーム作りをしました。今後はこれを更に進め、循環器内科専門医から不整脈専門医をスムーズに取得できる制度を確立する予定です。

3.患者さんや学会員への情報案内のためにホームページのリニューアル、新コンテンツの作成、不整脈診療アプリの作成などを行っています。また、若手医師(専攻医、初期研修医、医学生)に不整脈に興味を持ってもらうため、教育用映像コンテンツを作成し、ホームページ内の映像施設である「テアトルJHRS」「ベリタスJHRS」にて配信して参ります。COVID-19対策部会を通して学会員へのコロナ対応、予防委員会の活動を通して禁煙や心原性脳梗塞・心臓突然死の予防に関する啓発活動もさらに積極的に行っていきたいと思っています。

4.キニジン等の薬品供給不足問題などについては、健康保険委員会で協議を重ね、厚労省やPMDAに要望書等を提出し、本学会としても積極的に働きかけをしています。不整脈デバイスなどの医療機器の安全情報提供についても、医療安全委員会、植込み型デバイス委員会で引き続き迅速に対応していきます。

5.学会誌であるJournal of Arrhythmia(JOA)については、編集委員長らのご尽力により、懸案であるインパクトファクター(IF)の取得が2023年6月に実現する予定です。今後は、IF向上のためより質の高い論文を掲載するようにしていきます。

6.本学会のプレゼンスを海外へ示すために、国際交流委員会を通じて、海外の不整脈学会とのジョイントセッションや合同ガイドライン・コンセンサスステートメントなどに、これまで以上に積極的にかかわっていきます。

7.本学会をさらに継続的に発展させていくには、不整脈を志す若手医師の育成、女性医師の積極的参加、基礎医学者と臨床医の交流、トランスレーショナルリサーチの推進などがこれまで以上に重要となります。これらに関連する部会から出た案件は将来構想検討委員会が一括してとりまとめ、アイデアの実現に向けて活動していきます。

 私は日本不整脈心電学会の第5期理事長として、約40年という歴史の中で築き上げられた学会の伝統を重んじ、次の世代を見据えた新しい学会を確立すべく、学会員の皆様とともに全力を上げて課題に取り組んで参る所存です。

 学会員の皆様におかれましては、温かいご指導、ご支援の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

2022年10月4日

一般社団法人 日本不整脈心電学会
理事長 清水 渉
(日本医科大学大学院医学系研究科 循環器内科学分野)

TOP