2017年06月
山本 哲平、清水 渉(日本医科大学循環器内科)
- Q60歳男性。高血圧性心疾患で通院中に突然の動悸発作を繰り返し自覚するようになりホルター心電図を施行した。洞調律中の標準12誘導心電図(図1)およびホルター心電図所見(図2)から推定される頻拍機序はどれか。
- 1. 通常型房室結節リエントリー性頻拍
2. 稀有型房室結節リエントリー性頻拍
3. 左側副伝導路を介する房室回帰性頻拍
4. 右側副伝導路を介する房室回帰性頻拍
5. 心室頻拍から上室性頻拍へ移行
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【解答】
4. 右側副伝導路を介する房室回帰性頻拍
【解説】
ホルター心電図でwide QRSからnarrow QRSに移行する際に頻拍周期の短縮を認める。wideおよびnarrow QRS時共にNASAで陰性の逆行性P波があるが、よく見るとP-QRS間隔は一定不変で、心室頻拍から上室性頻拍への移行は否定的である。以上のことから、これはCoumel現象であり、房室回帰性頻拍と考えられた。また、V2と近似するNASA誘導でQRS陽性の右脚ブロック型aberrant conductionであり、副伝導路は右側と推定できた。実際、電気生理検査時の頻拍中心房最早期興奮は右房側壁で、同部での通電により根治した。なお、本症例においてはjump up現象を認め、房室結節二重伝導路の存在が確認されたが関連する頻拍は誘発されなかった。