J-RHYTHM Registry 2
(心房細動例における心原性塞栓症予防のためのワルファリンならびに新規抗凝固薬使用状況の実態に関する多施設共同観察研究)
2009年から開始されたJ-RHYTHM Registryは、7,900例を超える心房細動症例が登録され、2011年7月に2年間の経過観察が完了しました。この観察期間中の2011年3月に、わが国初の新規抗凝固薬(NOAC)である、トロンビン薬阻害薬(ダビガトラン)が上市され、その後も複数のXa因子阻害薬(リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン)が登場する状況となり、わが国の抗凝固療法は変革時期を迎えました。そこで、この治療薬切り替え状況の実態と予後への影響を評価することは有用な情報となることを考慮し、J-RHYTHM Registryを更に3年間追跡調査するJ-RHYTHM Registry 2が企画されました。日本心電学会の主催の下に実施され、我が国の心房細動患者でのワルファリン使用例の5年後までの予後を明らかにするとともに、新規治療薬への移症例、ワルファリン継続例の臨床的背景を明らかにすることにより、現在の治療指針をより適切なものとすることを目的としました。
追跡調査継続に同意を得られなかった者や最終追跡時の抗凝固薬不明例などを除外した5,460例を解析対象とし、イベント発症時または追跡期間終了時の投与薬をもとに、ワルファリン群3,964例、NOAC群923例、抗凝固薬なし群753例に分類しました。CHA2DS2-VAScスコアの構成因子および抗血小板薬有無を調整後のNOAC群のオッズ比(対照は抗凝固薬なし群)は、いずれのイベントも有意に低値であり(血栓塞栓症0.42、大出血0.53、全死亡0.10、心血管死0.12)NOACの有用性が示されました。また、5年間ワルファリンを変更なく継続できた例は、血栓塞栓症予防効果が維持されていました。
主要結果
Kodani E, Atarashi H, Inoue H, Okumura K, Yamashita T, Origasa H. Beneficial Effect of Non-vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants in Patients with Nonvalvular Atrial Fibrillation -Results of the J-RHYTHM Registry 2- Circ J 80(4): 843-851, 2016.