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リード抜去手術に対するステートメント(改定)

平成30年2月 日本不整脈心電学会

1. ステートメント公表の背景

ペースメーカ等の不整脈デバイス治療の手術件数は全国で年間6万件以上が行われており、デバイス治療に関連した合併症も散見され、特に感染を合併した際にはリードを含めたすべての異物除去が必須であることは広く認知されている。ある程度以上の留置期間を経たリードは、単純牽引での抜去は困難あるいは危険なため、何らかのリードマネージメント製品やデバイスによる補助が必要である。2010年8月にレーザーシースを用いたリード抜去術が保険収載されて以降、経静脈リード抜去術が本邦においても普及し広く行われているが、今後様々なリードマネージメント製品(リードロッキングデバイス、各種シースなど)に対応するため、施設、術者基準の改訂を行う。

2. リード抜去術を行う医師、施設に求められる要件

前述のとおり、レーザーシースの使用の如何を問わず、経静脈リード抜去は相応の危険を伴う手技であり、上大静脈等の損傷や心穿孔に伴う大出血がこれに含まれる。こうした合併症の発生に際しては、寸分の猶予なく開胸術をはじめとする緊急処置が必要であり、リード抜去を行う術者だけでなく、緊急手術を行う心臓血管外科医を含めた施行施設の十分な危機管理体制が求められる。 緊急開胸術が行える手術体制とは、必要十分な人数の心臓血管外科医が常勤しているだけでなく、緊急時に心臓外科手術の迅速な対応が得られる施設としての危機管理体制を意味する。
術者に求められる要件は不整脈デバイス治療に対する十分な知識と経験と技術に加え、経静脈リード抜去に対する十分な知識(適応、抜去術の様々な手法に関する知識、起こり得る合併症と対応、抜去できなった場合の対応など)が求められる。術者は循環器専門医・小児循環器専門医または心臓血管外科専門医を有し、かつ実際の使用に先立って製造販売業者が行うトレーニング等を受講する必要があるが、レーザーシースを含むpowered sheath※を用いた経静脈リード抜去機器の術者・施設基準として以下のものを設ける。

術者(医師)に求められる要件は

(1)循環器専門医・小児循環器専門医または心臓血管外科専門医を有し、かつ各社が定めるトレーニングプログラムを修了すること

(2)トレーニングプログラムには、指導医の手技を2例以上見学し、かつ指導医の立ち合いの下で2例以上の手技を行うこと

(3)ただし、すでにpowered sheath※で十分なリード抜去経験を積んでいる医師に関しては、指導医の手技見学、指導医立ち会いの手技実施を省略できる

施設に求められる要件は

(1)循環器専門医・小児循環器専門医の常勤医2名以上、かつ、心臓血管外科専門医の常勤医1名以上を必要とし、これら全員が手術時に同時に立ち会い、かつ緊急時に開胸手術などの迅速な対応が得られる体制を構築すること。

(2)植込み型除細動器移植術の施設基準に適合した施設(ICD認定施設)であること。

(3)抜去機器に関する所定のトレーニングプログラム(特にpowered sheath※を用いる場合)による研修を修了した医師が、2名以上常勤であること。

(4)施設に必要な装備等に関しては、各社が定めたトレーニングプログラムにおいて推奨される要件に準ずること。

(5)院内に倫理委員会、リスクマネージメント委員会、感染対策委員会が設置されており、必要に応じて各委員会に症例を諮り、適応や合併症について検討することができる施設であること。

(6)緊急時に心臓外科手術の迅速な対応が得られる施設であること。

※powered Sheath=「特に追加機能を有さない(マニュアル)シース以外」を指す。

3. リードロッキングデバイスキットの単独使用に関して

リードロッキングデバイスの単体使用によるリード抜去に関しては、以前にも警告を行っている。リードロッキングデバイスは単体で薬事承認が通っているが、「ロッキングデバイスの単体使用に関する要件」(ニュースレター27-2号:平成23年4月25日発行より抜粋)に抵触する。不整脈学会からの一連の公告は厚労省の指示によるものであり、リードロッキングデバイスは単独で使用するものではなく、原則としてリード抜去用の各種シースと併せて使用するように注意が必要である(ただし、各種シースと各リードロッキングデバイスの組み合わせに制限はない)。

4. その他

上記2項に示す医師、施設に求められる要件は、当該手技の今後の実施状況と結果を鑑み適宜更新されるべきである。また、現在経静脈リード抜去の適応は2017年HRS/AHA Consensus1)に示されている適応に準じて行われているが、国内での臨床使用の蓄積を基に本邦における適応が検討されるべきである。

参考文献

1)Kusumoto FM, Schoenfeld MH, Wilkoff BL, Berul CI, Birgersdotter-Green UM, Carrillo R, Cha YM, Clancy J, Deharo JC, Ellenbogen KA, Exner D, Hussein AA, Kennergren C, Krahn A, Lee R, Love CJ, Madden RA, Mazzetti HA, Moore JC, Parsonnet J, Patton KK, Rozner MA, Selzman KA, Shoda M, Srivathsan K, Strathmore NF, Swerdlow CD, Tompkins C and Wazni O. 2017 HRS expert consensus statement on cardiovascular implantable electronic device lead management and extraction. Heart Rhythm. 2017.

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