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心臓植込型デバイスにおける遠隔モニタリングステートメント

平成28年7月28日 日本不整脈心電学会

今日の心臓植込型デバイス(ペースメーカや植込型除細動器など)には、デバイスの機能を監視し、不整脈イベントや生理学的パラメータなどの情報を医療従事者に転送する遠隔モニタリング機能が備えられている。

遠隔モニタリングのデバイス監視能は対面診療と同等の精度を有し、リードやバッテリーをはじめとするデバイスの不具合、不整脈の検出および治療内容の確認などが、従来の対面診療に比べて早期になされることが示されている。1-4さらに、遠隔モニタリングを採用することによる外来の臨時受診の削減、5入院期間の短縮、6および、生命予後改善効果も報告されている。7, 8

以上より、遠隔モニタリングの有益性は高く、心臓植込型デバイス患者において標準的な管理手段としてこの導入が推奨される。遠隔モニタリングの活用と普及のためにHeart Rhythm Societyが公表した遠隔モニタリングに関するコンセンサスレポート9を鑑み、日本不整脈心電学会として、遠隔モニタリングの運用に関して以下のように提言する。

1.患者同意取得と患者教育
  • 遠隔モニタリングの導入にあたり、患者には文書による説明を行い、同意を得るとともに診療録に記載する。
  • 遠隔モニタリングの方法、種類、頻度に加え、個人情報が守秘されることや、遠隔モニタリングを使用することにより新たな費用負担は発生しないことを説明する。
  • 遠隔モニタリングの有益性とその限界を説明し、緊急応答システムを意図するものではないことについて理解を得る。
  • モニタリング機器の取扱説明を行い、電話回線による通信を維持するよう指導する。
  • 患者連絡先は最新の状態を維持するとともに、長期不在の際は医療機関に事前連絡するよう指導する。
  • モニタリング機器に不具合が生じた場合には、使用説明書にあるメーカー相談センターに連絡をとるよう指導する。
2.遠隔モニタリング運用体制の構築と責任
  • 医師、臨床工学技士および看護師など、多職種による遠隔モニタリング運用体制を構築し、情報共有と緊密な連携を図ることが望ましい。
  • 遠隔モニタリングのスケジュール管理やアラート対応について、施設ごとに方針と手順を決めておくことを推奨する。具体的には、各メンバーの役割と責任、アラートの管理方法や、対応可能時間、データ確認を行うスケジュールなどに関する院内手順を予め定めておくことが望ましい。
  • 伝送されたデータを解釈し、その後の患者管理の決定にも関与するメディカルプロフェッショナルは、心臓植込型デバイスに関して高い専門知識とスキルを有することが望ましい。
  • 診療録記載に関し、イベントごとに遅滞なく診療内容を記載することが求められる。特段のイベントがない場合でも遠隔モニタリングを施行している事実がわかるように、1ヵ月に1度診療録にモニタリングの結果を記載しておくことが望ましい。
    (診療録記載例):「遠隔モニタリングにより心臓植込型デバイスの機能指標の計測
    等を含めて評価を行い、著変を認めなかった」
  • 遠隔モニタリングは心臓植込型デバイスの植込み後、早期に運用開始することが望ましいが、患者の理解や受容度に応じて導入を考慮する。
  • 植込み後2~12週間経過時に対面診療を行うことを推奨する。
  • 遠隔モニタリングに加えて、年1回以上の対面診療を行うことを推奨する。
  • 遠隔モニタリングの運用において、最終的な責任は医師にある。

このステートメントは「心臓植込型デバイスにおける遠隔モニタリング」を適切に普及・運用するための指針である。また、将来、変更や修正が加えられることがある。

参考文献

  1. Varma N, Epstein AE, Irimpen A, Schweikert R, Love C, Investigators T. Efficacy and safety of automatic remote monitoring for implantable cardioverter-defibrillator follow-up: the Lumos-T Safely Reduces Routine Office Device Follow-up (TRUST) trial. Circulation 2010; 122: 325-332.
  2. Watanabe E, Kasai A, Fujii E, Yamashiro K, Brugada P. Reliability of implantable cardioverter defibrillator home monitoring in forecasting the need for regular office visits, and patient perspective. Japanese HOME-ICD study. Circ J 2013; 77: 2704-2711.
  3. Guedon-Moreau L, Lacroix D, Sadoul N, Clementy J, Kouakam C, Hermida JS, et al. A randomized study of remote follow-up of implantable cardioverter defibrillators: safety and efficacy report of the ECOST trial. Eur Heart J 2013; 34: 605-614.
  4. Parthiban N, Esterman A, Mahajan R, Twomey DJ, Pathak RK, Lau DH, et al. Remote Monitoring of Implantable Cardioverter-Defibrillators: A Systematic Review and Meta-Analysis of Clinical Outcomes. J Am Coll Cardiol 2015; 65: 2591-2600.
  5. Landolina M, Perego GB, Lunati M, Curnis A, Guenzati G, Vicentini A, et al. Remote monitoring reduces healthcare use and improves quality of care in heart failure patients with implantable defibrillators: the evolution of management strategies of heart failure patients with implantable defibrillators (EVOLVO) study. Circulation 2012; 125: 2985-2992.
  6. Crossley GH, Boyle A, Vitense H, Chang Y, Mead RH, Investigators C. The CONNECT (Clinical Evaluation of Remote Notification to Reduce Time to Clinical Decision) trial: the value of wireless remote monitoring with automatic clinician alerts. J Am Coll Cardiol 2011; 57: 1181-1189.
  7. Saxon LA, Hayes DL, Gilliam FR, Heidenreich PA, Day J, Seth M, et al. Long-term outcome after ICD and CRT implantation and influence of remote device follow-up: the ALTITUDE survival study. Circulation 2010; 122: 2359-2367.
  8. Hindricks G, Taborsky M, Glikson M, Heinrich U, Schumacher B, Katz A, et al. Implant-based multiparameter telemonitoring of patients with heart failure (IN-TIME): a randomised controlled trial. Lancet 2014; 384: 583-590.
  9. Slotwiner D, Varma N, Akar JG, Annas G, Beardsall M, Fogel RI, et al. HRS Expert Consensus Statement on remote interrogation and monitoring for cardiovascular implantable electronic devices. Heart Rhythm 2015; 12: e69-100.
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