日本不整脈心電学会

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2016年12月

渡邉 英一(藤田保健衛生大学)

Q27歳男性。心疾患の既往なし。18歳頃から動悸を認めていたが、自然に軽快するため、経過観察していた。本日は2時間以上動悸が改善しないため救急外来を受診。ベラパミルの静注で洞調律に回復した。心電図診断はどれか。
a. 発作性上室頻拍
b. 心房粗動
c. WPW症候群+心房細動
d. 左室起源特発性心室頻拍
e. 右室流出路起源特発性心室頻拍
201611-1
回答と解説はこちらから   

【解答】

d. 左室起源特発性心室頻拍(ベラパミル感受性心室頻拍)

【解説】

主要心電図所見
(1) 頻脈(146回/分)
(2) QRS幅増大(0.16秒)
(3) 右脚ブロック型
(4) 左軸偏位

右脚ブロック様の幅広いQRS波形+左軸偏位である。上室頻拍の変行伝導も考えられるが、右軸偏位が多い。V5、V6のQRS波形のR/S比が1以下で、心室頻拍に特徴的な所見である。Ⅱ、Ⅲ、aVFは下向きの上方軸であり、流出路起源は考えにくい。したがって、診断は左脚後枝領域起源の特発性心室頻拍である。一般的に、ベラパミルは上室頻拍の停止に有効だが、左脚後枝領域の心室頻拍にはベラパミル感受性のものがある。若年男性に多く、再発を繰り返すものの一般的に予後良好な心室頻拍で、カテーテルアブレーションによって根治可能である。

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