日本不整脈心電学会会員の皆様におかれましては、常日頃、学会の活動にご理解を賜り、厚く御礼を申し上げます。年頭のご挨拶が遅くなりましたが、本年もご指導・ご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。
昨年のこの時期には、新型コロナ感染の感染拡大により、全世界でまさかこのような事態になるとは誰も想像していませんでした。本邦では、第1波の到来に対して、令和2年4月7日から5月31日に第1回目の緊急非常事態宣言が出され、夏以降COVID-19感染の収束の気配がありました。しかし、その後年末にかけて再び感染が急速に拡大し、年が明けて令和3年1月8日に2回目の緊急非常事態宣言が発出されました。冬場にCOVID-19の再流行が予測されてはいましたが、年末から首都圏を中心に急速に感染者数が増加し、その後全国的に感染が拡大し、医療現場は首都圏だけでなく全国規模で逼迫状態となっています。病院によっては通常診療に制限が出ているところもあり、一部病院では不整脈診療を延期あるいは中止せざるを得ない状況が生まれています。現在はCOVID-19への対応が最優先される状況ではありますが、同時に不整脈疾患を含む心血管疾患の診断や治療の遅れはできるだけ避けるべきであると思います。昨年5月に日本不整脈心電学会COVID-19対策ワーキンググループがまとめたステートメント「新型コロナウィルス感染に伴う不整脈手技に関するお願い」に不整脈疾患のトリアージやCOVID-19流行下での不整脈手技の注意点がまとめられていますので、今一度ご参考にしていただければ幸いです。COVID-19への対応と不整脈診療の両立を地域・病院間の連携で図っていくべきと考えております。
全国の病院で無症候性感染者からCOVID-19の院内クラスターが発生しており、特に不整脈診断・治療で入院した患者さんから院内感染しない、させない注意が肝要です。先生方におかれましては、日々自らが感染するのではないか、そしてそれ以上に医療行為を通して自らが患者さんに感染させてしまうのではないか、不安や葛藤の中で診療行為を行っていらっしゃることかと存じます。私たち不整脈心電学会学会員はそれぞれの立場に違いはありますが、不整脈に苦しんでいる患者さんを救うという理念を分かち合う仲間であります。情報を共有しながら、学会員一丸となってこの苦境を乗り越えてまいりましょう。
令和3年1月21日
日本不整脈心電学会 理事長 清水 渉 同 情報広報委員会 委員長 高月 誠司