2017年05月
樗木 晶子(九州大学大学院医学研究院 保健学部門)
- Q40歳,男性.著患を知らず.午前0時に就寝後,2時50分に唸り声をあげて痙攣しているところを妻が発見し救急車を要請.3時過ぎに到着した救急隊によるAEDではVFであった.除細動後,本院へ搬送された.下記のうちで誤りはどれか.
- a. 到着時の通常肋間のV2誘導に2mmのsaddle-back型ST上昇を認める
b. 到着時の1肋間上のV2誘導にcoved型ST上昇を認める
c. A薬剤はピルシカイニド,B薬剤はイソプロテレノールである
d. A薬剤静脈投与時,1肋間上のV1, V2誘導に明瞭なcoved型ST上昇を認める
e. B薬剤静脈投与時,1肋間上のV2誘導はsaddle-back型ST上昇に戻っている
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【解答】
b. 到着時の1肋間上のV2誘導にcoved型ST上昇を認める
【解説】
主要心電図所見
① 到着時の通常肋間、1肋間上のV2誘導にsaddle-back型ST上昇
② A薬剤(ピルシカイニド)静脈投与にて1肋間上のV1, V2誘導にcoved型ST上昇出現
③ B薬剤(イソプロテレノール)静脈投与にて洞頻脈と1肋間上のV2誘導はsaddle-back型ST上昇に変化.
到着時の通常肋間のV2誘導にsaddle-back型ST上昇が見られるものの1肋間あげて記録した方がsaddle-back型ST上昇が著明になっている。しかし、coved型ST上昇はみられないので、Brugada症候群と診断するためにA薬剤:ピルシカイニド静脈投与をしたところ,1肋間上のV1, V2誘導はcoved型ST上昇に変化しており、B薬剤:イソプロテレノール静脈投与にて,洞頻脈となり1肋間上のV2誘導はsaddle-back型ST上昇に戻った.このような心電図変化と就寝中にVF発作を起こしたことからBrugada症候群と診断し植込み型除細動器の治療を行った.