会長挨拶
最初のカテーテルアブレーションは、Gallagher、Scheinmanらにより房室ブロック作成を目的として1982年に行われました。本邦には奥村 謙先生、家坂義人先生、相澤義房先生、佐竹修太郎先生ら諸先輩により導入されました。その後約40年が経過し、焼灼エネルギー源として当初用いられていた直流通電(DC)は高周波通電(RF)へと移行し、現在は冷凍凝固、レーザー、高周波、パルスフィールドが登場しています。焼灼に用いるカテーテルも、固定型から可変型(deflectable)へと移り変わり、バルーンカテーテルや、多極電極カテーテルが用いられるようになりました。治療対象となる不整脈も当初はWPW症候群がメインでしたが、その後心房粗動、心室期外収縮、房室結節リエントリー型頻拍と、あっという間に適応が拡大して心室頻拍や心房細動も治療対象になっています。
しかし、いまや成熟しつつあるように見えるカテーテルアブレーション領域ではありますが、まだまだ多くの課題を抱えています。古くから行われている上室性頻拍のアブレーションでさえ、房室結節領域起源頻拍の機序の解明が近年飛躍的に進んでいます。心房細動アブレーションにいたっては、パルスフィールドアブレーション、新しいマッピングシステム、新しいバルーンシステムなど新たな治療法が次々に登場しています。さらには、心筋内部の基質に対するアブレーション、アブレーション前後の経口抗凝固薬の使用法、左心耳閉鎖デバイスをはじめとする植込みデバイスとのコンビネーション治療など課題は山積しています。
今回の研究会はライブデモンストレーションのさらなる充実、新しいデバイス・焼灼エネルギーに関する最新の知見の提供、アブレーションを基礎から学べるプログラム、合併症の診断と対策、メディカルプロフェッショナルによるメディカルプロフェッショナルのためのセッション等々、不整脈診療に携わる医療従事者であれば誰しもが多くを学べる大会にしたいと思っています。
昼に勉強をした後、夜は十分リフレッシュしてください。11月の博多の街は美味しいもので溢れています。ふぐ、水炊き、もつ鍋、とんこつラーメン、新鮮な魚介類……併せて楽しんでいただければ幸いです。
皆様と博多でお会いできるのを楽しみにしています。
カテーテルアブレーション関連秋季大会2023
会長 合屋 雅彦
(国際医療福祉大学三田病院循環器内科)