第66回日本不整脈心電学会学術大会

Anatomy Theater (パシフィコ横浜 展示ホールB 1階)

病理・解剖セミナー〔ハンズオンとディスカッション〕

1. 不整脈治療の問題点を実際の心臓で考える(デバイス編)

  • 7月25日(木) 9:00~10:00
  • 講師:井川 修 (日本医科大学多摩永山病院循環器内科/セントマーガレット病院循環器内科)
  • ディスカッサー:石川 利之 (横浜市立大学附属病院循環器内科)
  • ペーシング治療が確立してから久しい。新たなデバイスの開発や新しいペーシング方法が試みられるようになり、近年、デバイス治療はこれまでにない大きな変化を遂げようとしている感がある。これまで従来の治療では、克服されてこなかった問題点も解決されるような期待も抱かされる時代である。新しい治療を行うにあたっては、デバイス側の進歩を理解するのは当然のこととして、生体側の構造を再確認しデバイス治療とのマッチングについて検討することは必要なことと考える。

    デバイス治療は、透視下で施行されるため正確な心臓構造の理解が必要であることは言うまでない。実際の心臓解剖をみると、デバイス植込み予定部位に予期し得ない構造物が存在することも経験される。これら全てがデバイス治療と関わりがあるとは言わないが、この存在部位、構造的性格、想定されるデバイス治療との関連などは検討すべきものと考える。

    本セッションでは、ディスカッサーとしてデバイス治療の専門医をお招きし、そのご経験も踏まえながら問題となる構造物を、実際の心臓を供覧しながら紹介していく。時間の制約もあるが、可能な限り多くの構造物を提示し、電気生理学的な内容も含めディスカッションを深めたい。

2. 不整脈治療の問題点を実際の心臓で考える(アブレーション編)

  • 7月26日(金) 16:30~17:30
  • 講師:井川 修 (日本医科大学多摩永山病院循環器内科/セントマーガレット病院循環器内科)
  • ディスカッサー:松尾征一郎 (東京慈恵会医科大学葛飾医療センター)
  • 3Dマッピングの進歩により、これまで不明であった様々な問題点の検討が可能になってきている。しかしながら、実際の心臓解剖を見てみると、その3Dマッピングに表現されていない特殊な構造物が多く存在することに驚く。これら全てがアブレーションとの関わりがあるとは言わないが、その存在部位、構造的性格、想定されるアブレーション処置との関連などは検討しておく必要があると思われる。ここでは、ディスカッサーとしてアブレーション専門医をお招きし、そのご経験も踏まえながら問題となる構造物の実際を、心臓を供覧しながら紹介していく。時間の制約もあるが可能な限り多くの構造物を提示し、電気生理学的な内容も含めディスカッションを深めたい。

心臓病理・解剖セミナー

1. ヒス束・左脚ペーシングを考える:ヒス束・左脚(領域)構造の特殊性

  • 7月25日(木) 11:30~12:30
  • 第9会場(パシフィコ横浜 展示ホールB 1階 特設会場)
  • 座長:久留 一郎(鳥取大学大学院医学系研究科再生医療学)
  • 演者:井川 修 (日本医科大学多摩永山病院循環器内科/セントマーガレット病院循環器内科)
  • 近年、房室伝導障害症例に対し、ヒス束ペーシングが施行される例の増加がみられる。さらに、ヒス束ペーシングから進化した左脚ペーシングも試みられ、その有効性も強調され始めている。その良好な治療成績が集積する一方で、少なからず考慮すべき問題点も提起され、その方法論の是非については議論のあるところである。

    本セッションでは、ヒス束・左脚ペーシングを施行するにあたって必要とされる房室接合部、心室中隔基部領域の正確な構造情報を紹介するとともに、その領域における構造的ピットフォールを提示することのみに留め、その是非についての議論は控えたい。それとともに、少し変化してきたと考えられる心室ペーシングの捉え方についても構造的に考えてみたい。

2. 心房中隔を考える:心房中隔構造の特殊性-侵襲的不整脈治療との関連より-

  • 7月26日(金) 11:30~12:30
  • 第9会場(パシフィコ横浜 展示ホールB 1階 特設会場)
  • 座長:新 博次 (医療法人社団葵会南八王子病院)
  • 演者:井川 修 (日本医科大学多摩永山病院循環器内科/セントマーガレット病院循環器内科)
  • 不整脈の侵襲的治療(デバイス植込み治療・アブレーション治療など)では、心房中隔(interatrial septum:IAS)へアプローチせざるを得ない場合も少なくない。その場合、IASの正確な構造情報が求められるが、ときに誤った心房中隔構造をもとに処置が行われている場合も見受けられる。言うまでもなく、IASは右房側にある卵円窩(oval fossa:OF)を中心とする領域である。この様相は右房側よりみた場合と、左房側よりみた場合とは全く異なっている。また、IASといってもその構造には大きな個人差が存在する。また、下大静脈、右心耳などの周辺構造との関連も重要と考えるが、そこには思いがけない落とし穴も見られる。同構造物に対しいかなる処置を施行するにあたっても、また、電気生理学的な解析を行うにあたっても正確な情報のもとにイメージを構築することが必要と考える。

    本セミナーでは、IASの成り立ちを発生学的に押さえた上で、実際のヒト正常心臓におけるIASの構造を供覧しながら、侵襲的的治療(心房中隔ペーシング・心房中隔アブレーションなど)にあたっての問題点を考えたい。