会長挨拶

心臓ペースメーカーは1974年に本邦で保険償還されました。その後、約20年間植込み型リズムデバイスはペースメーカーのみであり、徐脈性不整脈が対象でした。しかし、1996年に植込み型除細動器(ICD)が、2004年に心臓再同期療法(CRT)が導入されたことで致死性心室性不整脈、心不全にも対象が拡大し、デバイス植込みが行われるようになりました。さらに20年間を経て、皮下植込み型除細動器(S-ICD)、リードレスペースメーカーが導入されてデバイスの選択肢が増え、2008年には遠隔モニタリングが導入されるに至りました。新しい植込みデバイスは、いずれも従来の経静脈リードの弱点を補うもので、遠隔モニタリングの導入と合わせ患者さんの受けるメリットも大きくなりました。2010年には、経静脈リード抜去術が導入されました。リード抜去術の対象は当初は80%近くがデバイス感染でしたが、現在では血管閉塞やリード不全、デバイスアップグレードなど非感染適応が約半数を占めるようになっています。近年、新しい生理学的ペーシングとして刺激伝導系ペーシング(CSP)が登場し、本年(2025年)にはデュアルチャンバーDDDリードレスペーシング、血管外植込み型除細動器(EV-ICD)が導入されます。
数多くのデバイスが使用可能となり、成熟しつつあるように見えるリズムデバイス領域ですが、まだまだ課題を抱えています。様々なデバイスの中から最適なデバイスをどう選択すればよいのか、最適なデバイス留置手技とは、デバイスの設定・管理をどう最適化するのか、我々医療者側に要求される知識・技術・労力は飛躍的に増加しています。
今回の大会は、ビデオライブデモンストレーション、新しいデバイス・植込み手技に関する最新の知見の提供、リズムデバイスを基礎から学べるプログラム、メディカルプロフェッショナルのメディカルプロフェッショナルによるメディカルプロフェッショナルのためのセッション等々、不整脈診療に携わる医療従事者であれば誰しもが多くを学べる機会にいたします。
学会には、「お祭り」の要素があります。勉強も大事ですが遊びも大事です。「カテーテルアブレーション関連秋季大会2023 」で登場した‘肺静脈星人’とともに、新たに‘VT-REX’が大会キャラとして登場します。昼に勉強をした後、夜は十分リフレッシュしてください。2月の小倉の街は美味しいもので溢れています。ふぐを代表とする新鮮な魚介類、ガツ飯、ホルモン鍋、角打ち、焼うどん、とんこつラーメン……併せて楽しんでいただければ幸いです。
皆様と小倉でお会いできるのを楽しみにしています。
2025年4月
第18回植込みデバイス関連冬季大会
会長 合屋 雅彦
(国際医療福祉大学三田病院循環器内科)