会長挨拶
第17回植込みデバイス関連冬季大会を、福岡国際会議場〔2025年2月21日(金)〜22日(土)〕にて開催させていただきます。心臓植込みデバイス業務では、デバイスチェック、遠隔管理、CRTにおける心不全管理など、医師だけでなく、臨床工学技士、看護師、そしてリハビリテーションに携わるスタッフを含めた多くの職種によるチームでの管理が欠かせません。個々の患者にとって最適な治療選択ができるよう常に情報・知識をアップデートし、多職種のスタッフが同じ目標に向かってディスカッションできる場として、本大会は大きな役割を担っていると考えます。
私は、自分のキャリアの半分以上の時間を心臓植込みデバイス業務に費やしてきました。自分の最も興味のある、好きな領域における大会の会長を務めることは大変嬉しく、機会を与えてくださった諸先輩先生方、学会関係の皆様に改めて感謝申し上げます。
私が心臓植込みデバイス業務に魅力を感じるようになったきっかけは、レートレスポンスによる効果です。ある日のペースメーカ外来で、レートレスポンス機能をオンにしたところ、その患者さんは病院からの帰り道にすぐに効果を実感されたようで、『人生が変わったよう。ショッピングを楽しみながら帰りました。』と、感激の手紙を送ってくださいました。医者冥利に尽きる記憶に残る出来事になりました。
何気なく行ったほんの少しの設定変更で、患者さんの“生活の質(QOL)”が大きく変わることを知り、デバイス設定の重要性を認識しました。さらに、CRTが登場し、デバイス治療がQOL改善のためにあることを実感しました。QOLの改善・向上、考えてみれば当たり前ですが、当初、救命に重点を置いていたペースメーカ/ICD治療では、ペーシングをする/致死的不整脈を止めるということが最重要課題であったため、その他の有用な機能が見過ごされていたのではないかと思います。
心臓植込みデバイスは、様々な状況に対応できる有用な機能、それぞれのメーカー独自のアイデアから開発に至った優れた機能が搭載され、日々進化しています。QOL向上という目的を達成するためには、患者さんの年齢、心電図、不整脈、内服薬、生活習慣、生活環境などあらゆる情報を把握し、多くの機種の中から適切なものを選択する必要があります。心臓植込みデバイスは、患者さんにとって一生の治療です。多くの場合、最初に選択したリードと本体(そのメーカー)を継続して使用し、途中でメーカーを変えることはないため、初回植込み時の機種選択がとても重要になります。もちろん機能にとどまらず、近年では刺激伝導系ペーシングといった、新たなペーシング治療の概念・技術も登場し、心臓植込みデバイス治療の長期成績や、恩恵を受ける患者選択など、注視して学ぶべきことの多い領域です。
是非、多くの皆様にご参加いただき、熱いディスカッションを交わすのみならず、ネットワーキング形成の場としてもご活用いただけることを願っております。皆様と福岡でお会いできることを心より楽しみにしております。
第17回植込みデバイス関連冬季大会
会長 中井 俊子
(日本大学医学部内科学系先端不整脈治療学分野)