植込み型除細動器(ICD)は、致死性不整脈による心臓突然死を予防する極めて有効な治療手段として広く臨床応用されています。2004年に再同期療法(CRT-P)、2006年には再同期療法付きの植込み型除細動器(CRT-D)が保険償還され、我が国でもその有用性が認知されるようになりました。しかし、現在の我が国のICD、CRT-P、CRT-Dなどのデバイス植込み基準は、日本人のエビデンスが十分でないため、欧米のメガトライアルの結果を参考に判断している状況です。そこで、日本不整脈心電学会(旧:日本不整脈学会)では、UMINインターネット医学研究データセンターを利用して、日本人の心臓突然死の実態調査を目的としたICD登録制度”ICD-WEB”を2006年8月に発足しました。その後、2007年6月にJCDTR version 2(Japanese Cardiac Device Therapy Registry)を作成してCRT-Dも登録可能とし、2010年9月にはJCDTR version 3を作成してCRT-Pの登録も可能なものに更新しました。2017年4月以降に登録されたJCDTRデータは倫理委員会の承認を得る必要が生じたため、今までのデータを生かせる新たな研究計画書“New JCDTR” を作成するとともに、2018年からは日本不整脈心電学会が管理するシステムに移行しました。また、2023年からは本学会の倫理委員会での中央一括審査となり、New JCDTR2023として開始しています。一方で、EV-ICDの薬事承認(2024年10月)、刺激伝導系ペーシングといったデバイス治療の進歩、登録システムの簡便性を望む学会員の声などがあり、内容の改訂が必要と考えました。
本登録事業は日本不整脈心電学会で最も歴史のあるデータベースです。植込み型デバイス委員会では、今後も植込みデバイス治療の現状を把握し、その情報を発信することで適切な植込みが行われていくようにしたいと考えています。また、学会員の皆様にもデータを利用していただく仕組みを考えております。引き続きご協力をお願いいたします。
一般社団法人 日本不整脈心電学会
植込み型デバイス登録評価部会 部会長 横式尚司
植込み型デバイス委員会 委員長 髙木雅彦
理事長 夛田 浩