Japanese Cardiac Device Therapy Registry (JCDTR)は、2006年に日本不整脈学会(現・日本不整脈心電学会)が主導して開始された我が国における最大規模のICD、CRT-D、CRT-Pのレジストリです。現在までに40,000例を超える症例が登録され、我が国のICD、CRT植込み患者の臨床背景などを明らかにしてきました。例えば、我が国では特発性心室細動やBrugada症候群に対するICD植込み数が全体の10%を越えること、虚血性心疾患に対する植込み数が欧米に比べはるかに低く約40%に満たないことなどです。それ以外にも、CRT-DとCRT-Pの予後に差がないこと、術前のEPSはその後の予後や作動率を予測しないことなどが明らかにされ、学術大会の場や論文として発表してまいりました。さらに、NIPPON StormやJID-CADなどの前向き研究もJCDTRをベースにわが国独自のエビデンスとして発信しています。

 当初、登録システムとしてUMIN(大学病院医療情報ネットワーク)を利用していましたが、2018年からは学会で作成したシステムを使い、登録にあたっては各施設の倫理委員会の承認を得ることを条件にNew JCDTRと名称を変更して5年間観察を行ってきました。しかしながら、各施設の倫理委員会承認は煩雑であり、また登録施設が限定されてしまうことなどを危惧し、学会倫理委員会での中央一括審査によるNew JCDTR 2023として新たに開始することといたしました。

 現在、我が国におけるICD、CRT植込みは健全に普及されていますが、慣れや症例数の増加などで不適切な植込みが増えないように注意する必要があります。さらに、植込み後の合併症や予後の調査なども必要です。各施設におかれましてはご負担をおかけしますが、われわれ事務局も協力を惜しみません。

 今後とも新規植込み登録のみならず、経過観察データ登録についても皆様にご協力いただければ幸甚です。

一般社団法人 日本不整脈心電学会        

植込み型デバイス登録評価部会 部会長 三橋武司
植込み型デバイス委員会    委員長 安部治彦
理事長 清水 渉