我が国における着用型自動除細動器による治療実態の登録調査
- Japan Wearable Cardioverter Defibrillator Registry(J-WCDR)-

日本不整脈心電学会では、以下の研究を実施しておりますのでお知らせいたします。
また、情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、以下の問合せ先までお申出下さい。
その場合でも、患者さんに不利益が生じることはありません。

研究課題名 我が国における着用型自動除細動器による治療実態の登録調査
研究の概要 器質的心疾患や遺伝的背景を有する症例において、致死的心室性不整脈(心室頻拍: VT/心室細動: VF)が突然死の原因となることが報告されており、現在ではその様なリスクを持つ症例に対して除細動機能を持つ植込み型デバイス(Implantable cardioverter-defibrillator; ICD)などを適用することが標準的な治療となっている 1-2)。各国の学会ではその適応に関するガイドラインを示し、本邦でも保険償還に使用の条件を加えるなど適切な運用が行われている。ガイドラインにおける適応基準は、科学的に検証された大規模試験の結果に基づいて明確に規定されているが 2)、その反面、植込み型除細動デバイスの適応についていわゆる「境界域(グレーゾーン)」の症例においては、突然死のリスクを想定しながらもデバイスを適用できない症例も存在する。着用型自動除細動器(wearable cardioverter defibrillator: WCD)は、伸縮性のあるベスト内に接触型心電図電極と除細動用のパッドを配した着用型のデバイスで、接続したコントローラにより患者が意識を消失する様な致死的心室性不整脈(VT/VF)を自動診断し、必要な際に自動的な直流除細動を行う。
WCDはその適用が「着用」という簡易な手技によって開始されながら、その継続使用にあたっては患者自身や使用の指導者(医師、臨床工学技士、看護師など)の適切な理解を要するという特殊性がある上に、WCD使用による救命効果、あるいは安易な乱用による医療経済的浪費について、専門家のなかでもいくつかの懸念がある。WCDが優れた救命デバイスであることは明らかであるが、どの様な運用を行うことでより効果的な治療介入を行えるのかを明らかにすることは極めて重要な課題であり、本邦の保険適応や運用の指針を修正していくためにもデータをの集積は必須といえる。
研究実施期間 2020年10月1日 から 2026年3月31日
*5年後ごとに見直しとする
対象患者

我が国でWCD治療が行われ、以下の選択基準をすべて満たし、除外基準のいずれにも該当しない患者を対象とする。 WCDの適応は、我が国のガイドライン(最新版)2)に準拠する。

<選択基準>
1)年齢不問
2)性別不問
3)観察期間中の診療録情報がある者
4)本研究の参加にあたり十分な説明を受けた後、十分な理解の上、患者本人あるいは代諾者の自由意思による文書同意が得られた者
5)登録時にすでにWCDの使用を終了している症例も含む

<除外基準>
該当なし

研究対象者の研究参加
予定期間
WCDの使用期間(上限3カ月)。
対象期間

<前向き登録者>
登録期間:2020年10月1日 ~ 2025年12月31日
観察期間:2020年10月1日 ~ 2026年3月31日

<後向き登録者>
対象とする期間:2015年1月1日 ~ 2020年9月30日

研究機関の名称 別添参照 倫理委員会の承認を得られた施設一覧(随時更新)
研究代表者 氏名:庭野慎一
所属:北里大学医学部循環器内科学
使用する情報等

<WCD使用開始時の基礎項目>
性別、年齢、WCD適用開始日、WCD処方者、WCD使用目的、一次予防時の適用理由、二次予防時の適用理由、使用場所、着用指導、メーカ補助、WCD適用時の内服薬、腎臓透析の有無など

<WCD使用開始時の患者背景>
身長、体重、基礎心疾患、冠動脈疾患の有無、冠動脈造影、植込み時までの血行再建術の既往、心房細動・粗動の有無、心疾患以外の疾患、NYHA 分類、左室機能、植込み時の胸部X線・心電図、非持続性心室頻拍(NSVT)の有無、VT.NSVTに対する治療の既往、血液生化学検査など

<観察終了時の項目>
3カ月を上限とした経過観察のあと以下の情報を収集
イベントの有無(VT/VFの発生、不適切作動、死亡、心不全のための入院、デバイスに関する合併症、デバイス関連の再手術)、WCD使用終了後のデバイス治療、WCD使用中または終了時に追加した評価・検査(NYHA分類、左室機能、加算平均心電図、T波変動(TWA)、電気生理学的検査、ホルター心電図)、WCD使用中に追加した治療(植込み型心臓モニタ、カテーテルアブレーション、血行再建術)、WCD使用終了時の使用薬剤、経過観察不能と判定した日

倫理審査
倫理審査委員会承認日
2020年11月9日
研究計画書等の閲覧 研究計画書及び研究の方法に関する資料を、他の研究対象者等の個人情報及び知的財産の保護等に支障がない範囲内で入手又は閲覧できる。詳細な方法に関しては、以下の問い合わせ先に連絡のこと。
オプトアウトについて 一部の施設では、本研究にオプトアウト方式を取り入れている。臨床研究を実施する際には、患者さまに文書もしくは口頭で説明・同意を行ったうえで行うのが原則であるが、侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いた研究では、国が定めた指針に基づき患者さまから直接同意を得る必要がないことになっている。ただし、研究の目的を始めとする研究に関する情報を公開することが義務付けられており、患者さまには協力拒否の機会を保障しなくてはならない。
オプトアウトとはこのような手法をいい、オプトアウト方式を取り入れている施設で研究への協力を拒否される患者さまにおかれましては、各施設の担当医まで連絡のこと。
結果の公表 学術大会や論文などで公表する。
個人情報の保護 結果を公表する場合、個人が特定されることはない。
知的財産権 一般社団法人日本不整脈心電学会に帰属する。
研究の資金源 一般社団法人日本不整脈心電学会の運営資金が原資になっている。
利益相反 運営は一般社団法人日本不整脈心電学会の運営資金を使用しており、本研究の実施にかかる利益相反はない。
問い合わせ先 相談窓口:北里大学医学部循環器内科学
担当者:庭野慎一