委員長挨拶
みなさん、こんにちは。心電学委員会の委員長を仰せつかりました大分大学の髙橋です。心電学関連大会は、カテーテルアブレーション関連大会、植込みデバイス関連大会と並ぶ日本不整脈心電学会の分科会のひとつです。その心電学関連大会を企画・運営する組織が心電学委員会です。
私は大分県の生まれですが、偉大な先人に田原淳博士がいます。ドイツのマールブルク大学留学中に、刺激伝導系の存在を明らかにし、房室結節(田原の結節)を発見しました。私は医学生の頃、田原博士の影響を強く受けておられた有田 眞先生(生理学第二教授)が、「この田原の結節がですね!」と独特のイントネーションで情熱的にお話される講義を受ける機会に恵まれました。今から40年以上前のことです。私が不整脈学、心電学を目指すきかっけとなった講義でした。今は母校の循環器内科教授として、学生に、“心電図が記録された患者さんの胸壁の向こう側で、心臓が実際にどのように拍動しているかをイメージできること それが真に心電図が読めるということだ”と熱い思いを伝えています。
令和の時代に入り、コロナ禍を経て、この分野は、AIによる自動診断、パッチ型長時間心電図やスマートウォッチによる心房細動早期診断、など大きく進歩してきました。遺伝学的研究、薬理学的研究、再生医療など、不整脈における基礎研究も心電学関連大会が扱う分野です。一方で、カテーテルアブレーションや植込み型心臓デバイスによる治療にも心電図の知識は必須です。
まだまだ伸びしろのある分野です。心電学関連大会の発展を目指してみなさんと一緒に力を併せて頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
心電学委員会委員長
大分大学 医学部 循環器内科・臨床検査診断学講座教授
髙橋尚彦