会長挨拶
この度、心電学関連春季大会2025の会長を共同で務めさせていただくことになりました金沢医科大学の笠巻祐二と大阪大学の李鍾國です。歴史と伝統に彩られた京都での開催を控え、学会の発展と会員の皆様の交流に寄与できることを大変光栄に思います。
本大会では、「心電学という窓を通して、人を診る」という理念のもと、最新の科学的知見と技術を駆使して心電学の未来を形作ることをテーマといたしました。心電図は単なる波形の集合体ではなく、その向こうには患者一人ひとりの生命のリズムが映し出されており、このデータを解析し、理解することで、より良い医療へとつながる貴重な知識が生まれると考えています。
2024年1月の能登半島地震は地域社会に多大な影響を与えました。会長の一人である笠巻は、その地域の医療機関で勤務していますが、困難な状況の中でも地域医療を支え続けることで、心電学の重要性を再認識する機会となりました。
近年、ウエアラブルデバイスなどの技術が心電図の記録と分析に革命をもたらしています。これらのデバイスは、日常生活での心電図の連続モニタリングを可能とし、予測医療の一環として大きな可能性を秘めています。さらに、人工知能(AI)の導入により、膨大なデータからパターンを学習し、診断の精度を高める方法が開発されています。こうした技術の統合が未来の医療を大きく変えることでしょう。
当学会は、臨床から基礎まで幅広い分野の専門家が一堂に会し、知識の交流と新たな協力関係の構築を目指すほか、国内外の研究者とのコラボレーションを通じて、グローバルな視野を持って学問の発展に寄与することを使命としています。そこで本大会では、心電図検定やマルチモダリティと心電図の連関についても深く掘り下げるほか、基礎電気生理学や遺伝性不整脈などのトピックも取り上げ、基礎研究と臨床実践の両面からアプローチします。
心電学は日々進化しており、私たちの学びも絶え間なく続いています。会員の皆様と共に、この刺激的な旅を続けることを楽しみにしております。色鮮やかな青もみじに包まれた初夏の京都で皆様にお会いできることを心からお待ちしております。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
心電学関連春季大会2025
会長 笠巻祐二
金沢医科大学氷見市民病院総合診療科
李 鍾國
大阪大学大学院医学系研究科心血管創薬再生医学共同研究講座