相澤 義房 |
第25回日本心電学会の会長を仰せつかり,大変光栄に思っております.これまで順調に,教室一同準備を進めて参りました.
新潟市は昨年政令指定都市となりました.信濃川辺りの朱鷺メッセ(新潟コンベンションセンター)での開催となります.多くの皆様にはすでにお馴染みかと思いますが,ここが日本最長の大河が日本海に注ぐ最終地点となります.
開催期日は,10月31日(金)を諸会議に,11月1日(土),2日(日)の両日といたしましたが例年に比べ少し遅くなってしまいました.AHAの学術集会に近く,そちらにご出席の先生には慌ただしい日程になることと思いますが,何卒ご容赦のほどお願いします.
さて,日本心電学会は基礎を背景にして心電学を理論化しかつ体系化するに相応しい学会としてスタートし,はや四半世紀に達しました.そこで四半世紀の総括を行うという意味合いを込めて,本大会のテーマは「心電学の力と展開」としました.これは心電学を武器にいかに臨床に切り込むか,あるいはいかに心電学的にものを考え役立てるか,と心電学の意義を改めて問いたいとの思いを込めております.そこでパネルディスカッションやシンポジウムでも心電学の意義(力)を問い,心電図や不整脈に関して未解明のことを明らかにするとともに,われわれの得た成果と限界を明確にして明日からの探求の指針を得ていただきたいとの思いで企画しました.
この規模の学会では,国内の発表を充実させたほうがよいのではとの思いもあり,当初から極力外国からの演者のご招待は抑えましたが,ランチョンセミナーを含め4名となりました.
上田英雄記念講演にはN. El-Sherif 教授に「Role of pharmacotherapy in cardiac ion channelopathy」と題して,山田和生招聘講演にはA. Chugh 教授に「Catheter ablation of atrial fibrillation : A decade of progress」と題してご講演をいただくことになっております.
本学会の特徴でもある学術諮問委員会からの提言シンポジウムは大江透,萩原誠久両先生のご司会のもと,「重症心室不整脈に対するリドカイン,ニフェカラント,アミオダロン静注薬の位置づけ」について議論をいただきます.また,指定トピックスは,井上博,家坂義人両先生に「薬物療法と非薬物療法のハイブリッド療法」と題して企画とご司会を託しております.
大会事務局では,シンポジウムとして奥村謙,熊谷浩一郎両先生に「心房細動の病態と治療の進歩」を,ファイアサイドセミナーⅠとして西崎光弘,鎌倉史郎両先生に「Brugada症候群の治療をどうするか?」を,ファイアサイドセミナーⅡとして児玉逸雄,村川裕二両先生に「ICDの基礎と臨床」を企画,依頼しました.パネルディスカッションとして栗田隆志,池主雅臣両先生に「Electrical stormの病態と機序」をテーマに依頼しました.いずれも心電学的にどれほど解明されているか,未解明の点は何かなど明らかになればと期待しております.なお,第43回理論心電図研究会を継承しての心電学フロンティア2008「Optical mapping の新たな展開」も堀江稔,児玉逸雄両先生のご司会にて第一日目に開催されます.
昼食の利便性を考慮し,おそらく十分な数であろうランチョンセミナーを2日間とも5会場にわたって揃えました.講師にN. El-Sherif 先生,N. Edvardsson先生,S. Cazeau先生らを迎え,さらに本邦の演者による内容のあるお話が期待されます.外国からの招待者には,Keynote Lectureなども依頼しました.2日目の朝にはモーニングセミナーも予定しておりますので奮ってご参加下さい.
日本心電学会学術奨励賞論文,医科学応用研究財団助成による日本心電学会論文賞へは,内容のあるたくさんの論文の応募をいただきました.選考会と受賞式も会期中に行われます.
これらの企画は勿論ですが,何よりも学会の底力が試されるのは一般演題であり,そのなかから新しいブレークスルーや学問の芽生えがあると信じております.会員の皆様には新潟の地にお出でいただき,不整脈の治療手段としてのカテーテルアブレーションやICDにさらに学問的裏づけを加えていただきますように,心電学の学術集会でのご発表と熱い討論をお願いいたします.
最後に演題の選考,座長,シンポジスト,学会賞の選考などお引き受けいていただきました皆様に紙面を借りてお礼を申し上げます.また大会運営にあたり学会事務局にお世話になりましたこと,教室員の諸君には1年余りの準備をしていただきましたことを記し,お礼を申し上げます.