メディカルプロフェッショナル対象のセッションです。
教育講座1・2の聴講には各共催企業のウェブサイトからの事前申込みが必要です。(教育講座3の聴講は、事前登録不要です。)各共催企業より送付される聴講票をお持ちでない方は入場できません。
会場に到着されましたら、学術大会受付にて学会参加費(1日券:4,000円もしくは4日間通し券:10,000円)をお支払いのうえ、会場前までお越しください。教育講座1・2は聴講票の確認をさせていただきます。
※メディカルプロフェッショナルの方で、本教育講座セッションのみ参加される方はそれぞれ1日券が必要になります。
※教育講座1・2は、それぞれ認定心電検査技師制度認定更新の要件(10単位)に該当します。受講証を受け取り、記名のうえ、後日の自己申告まで保管してください。なお、更新単位の付与につきましては、遅刻(20分以上)、早退は認められておりません。
※教育講座1・2は定員(350席)になり次第締め切りといたします。
教育講座1
『病態を学んで診断に役立てよう!』
心房細動の発症メカニズムと診断・治療に関する現在と未来
佐々木 毅(国立病院機構災害医療センター不整脈センター)
フランスのハイサゲル先生が肺静脈を起源とする興奮から心房細動(AF)が発生することを発見してから20年が経ち、マッピングシステムやバルーン治療などの新しい技術の導入とともに、現在多くの施設でカテーテルアブレーションが標準的治療として行われるようになり、さらに抗凝固療法では、より心原性塞栓による脳梗塞や出血性合併症の少ないDOAC(直接経口抗凝固薬)がワルファリンにとって代わって頻用されている。この20年間で心房細動治療は劇的な変化を遂げた一方で、持続性AFに対するアブレーションの方法やアブレーション後の心房細動の再発、心不全患者や血液透析患者におけるアブレーション、抗凝固療法の困難例における脳梗塞予防、さらには心房細動の早期発見や発症予測の方法など、まだまだ解決すべき課題も多い。
本講演では、心房細動の発症メカニズムを踏まえて現在のカテーテルアブレーションの方法や手技を解説するとともに、早期発見のための診断方法や心房細動の発症予測に関する新しい知見、アブレーション周術期を含めたDOACを用いた抗凝固療法の有用性、脳梗塞予防のための左心耳閉鎖、切除術など、AF治療の現在と未来について幅広く理解を深めることを目的として概説する。
二次性心筋症を鑑別しよう!あなたの診断が治療を変える!
久保 亨(高知大学医学部老年病・循環器内科)
日常診療において心筋疾患を診ることは少なくない。形態的には、肥大型心筋症に代表される心肥大と拡張型心筋症に代表される心室拡大・収縮不全に大きく分けることができる。肥大型心筋症や拡張型心筋症といった特発性心筋症の診断は、可能な限り二次性心筋症を鑑別しておく必要がある。なぜなら、二次性心筋症は特発性心筋症と比べて予後不良であることが多く、さらに、二次性心筋症は疾患特異的な治療が存在する場合もあり、その治療によって予後が大きく改善する可能性もある。二次性心筋症を鑑別するには、心電図や心エコー図検査以外に簡単な問診や身体所見からも疑うことが可能であり、患者さんからのサインを見逃さない医療者側の意識が重要となる。本講演が、二次性心筋症を可能な限り早期に診断し治療につなげる一助になれば幸いである。
教育講座2
『ワンランク上を目指すメディカルプロフェッショナルのための心電図レッスン』
循環器診療に携わるメディカルプロフェッショナル(MP)にとって、心電図は欠くことのできない検査である。心電図を正確に読むことができれば診療の幅が大きく広がる。心電図が正常かどうかの判断はある程度できても、一歩踏み込んだ判読あるいは医師に助言できるまで理解しているMPは少ないように思われる。その理由は、心電図にはバリエーションがたくさんあり、心疾患ごとの特徴的な所見を覚えなければならないためである。どの学問においても王道はなく、地道に1つ1つ理解していくことがエキスパートになるための早道かもしれない。日本不整脈心電学会では毎年MP向けの心電図判読セミナーを開催しており、この度「ワンランク上を目指すメディカルプロフェッショナルのための心電図レッスン」と題して、この領域に造詣が深く、かつ話し上手なお3人の先生方をお招きして講演していただくことにした。
因田恭也先生には、危険な不整脈の見分け方のポイントについて、わかりやすく解説していただく予定である。次に、渡邉英一先生には、モニター心電図とホルター心電図を読む時のチェックすべき項目について、明快に解説していただく予定である。最後に草間芳樹先生には、虚血性心疾患の診断において欠かせない運動負荷心電図の基本的な読み方について、これまでの経験を踏まえながら解説していただく予定である。
臨床検査技師、看護師、薬剤師のみならず、心電図の判読を苦手にしている若手医師にも聴講を是非お勧めしたい。
※本公開講座出席により、日本薬剤師研修センター認定の研修認定薬剤師1単位が認められます。終了後、会場前にてシールを配布いたしますので、お受け取りください。
受付は開始20分前より会場前にて行います。遅刻がないように時間に余裕をもってご参加ください。シールをお渡しできなくなる場合がございます。
教育講座3
『超高齢化社会における抗血栓療法を考える』
これまで日本不整脈心電学会では、「薬剤師公開講座」として、不整脈領域での薬物治療に関わる話題を取り上げ開催してまいりました。今年も、昨年に続き、抗血栓療法を取り上げさせていただきます。新規経口抗凝固薬(DOAC)の登場から既に7年が経過し、ワルファリン単独の時代から抗凝固薬も選択される時代となっています。一方、わが国は、更なる高齢化社会へ向け加速している状況にあります。このような背景を受け、高齢者を対象とした至適な薬物治療を模索すべく本企画がなされています。薬物療法では、個々の症例に適した「テイラーメイド」が勧められますが、高齢者といっても個々の日常生活のレベル(ADL)に多様性があることなど考慮し、更に精度の高い対応が求められる時代が到来しています。各分野を代表するエキスパートを招聘して企画された本講座にご参加いただき、皆様の更なるスキルアップにお役立ていただければ幸いです。
Copyright © 2017- 第65回日本不整脈心電学会学術大会. All Rights Reserved.
循環器疾患の診断の基本となるのは、従来から、①医療面接による詳細な病歴、②身体診察、③心電図、④胸部単純X線写真、⑤そのほか、と言われている。最近では、⑤そのほかに分類される画像診断の進歩により、この診断アプローチが大きく変化してきている。最新の画像診断への依存度が高くなっている。病歴も主訴のみで十分に聴取せず、ろくに身体診察もせず、心電図や胸部単純X線写真も詳細な検討なく、高額な画像診断や侵襲性のある検査法を選択する医療がまかり通っていないだろうか。そういったことへの警鐘をこめてChoosing Wiselyという動きが起こっている。Canadaのグループからは研修医/医学生向けに下記のメッセージが出されている。
これは診療検査技師の視点でも同じと考える。賢い選択(Choosing Wisely)をするためには、病態をよく知ることである。闇夜に鉄砲を撃つようなことはせず、個々の症例で①から④の情報を吟味し、病態を考えれば、適切な診断・治療ストラテジー(戦略)がたてられるはずである。
今回のセミナーでは、心房細動と心筋疾患にフォーカスをあて、その病態を知ったうえでそれらの疾患に対する賢い診断・治療アプローチを学ぶべく企画した。Choosing Wiselyに関心のある皆さんの参加を勧める。