シンポジウムT「New Device研究に関するHarmonizationの諸問題」
座長: | 栗田 隆志(国立循環器病センター) |
庄田 守男(東京女子医科大学) |
【座長の言葉】
従来、我が国ではペースメーカーなどの医療機器に関する承認審査の遅滞により、世界標準と比較して世代遅れの機器を使用せざるを得ない状況を強いられていたが、最近は各方面の努力が実を結びこの遅れを取り戻しつつある。しかし、最新鋭の医療機器を使用した臨床研究や国際共同臨床治験などの国際交流に対するハードルは依然として高く、NewDeviceの研究面に関しては日本が取り残されている感が否めない。海外で開発された新しい機器、さらには日本で開発された機器であっても我が国で迅速に研究されることが少ない現状は、医療機器承認審査の問題とは違ったレベルで日本の医療の質が問われている。本シンポジウムでは、世界レベルでのNew Device研究の現状を報告し、我が国における問題点を明らかにしその対策を考察する。
シンポジウムU「心房細動の治療戦略」
座長: | 青沼 和隆(筑波大学) |
高月誠司(慶應義塾大学) |
【座長の言葉】
20世紀に於ける不整脈治療の発展には目覚しいものがあり、最後の20年間で既に多くの頻脈性不整脈でカテーテルアブレーションによる根治が得られるまでに進歩し、また薬物治療も飛躍的にその効果と安全性が向上した感がある。しかしながら心房細動に対する治療は、様々な薬物治療が試行され、かつカテーテルアブレーション治療が行われているにもかかわらず、いまだに発展途上の治療であり21世紀に入っても未だに確実な治療法としての方法論が確立されていないというのが現状であろう。今回心房細動の治療戦略(仮題)と題して薬物治療に於ける様々な基礎薬理学的知見を踏まえた最新の考え方、心房細動の発生と持続という2つの事象に対する最新の電気生理学的背景を踏まえたカテーテルアブレーション治療の新しい考え方、さらにはアブレーションと薬物治療という新たなハイブリッド治療の試みなどに対して各分野の専門家からお話をいただく。今後の心房細動治療の手がかりが得られるような有意義なシンポジウムとなればと考えている。
シンポジウムV「イオンチャネル病のUp-to-date」
座長: | 萩原 誠久(東京女子医科大学) |
清水 渉(国立循環器病センター) |
【座長の言葉】
1990年代後半からの分子遺伝学的研究の進歩により、いくつかの致死性不整脈疾患が心筋イオンチャネル機能や細胞膜蛋白の調節に関係する遺伝子の変異によって発症することが判明し、「イオンチャネル病」という概念が生まれた。代表的疾患である先天性QT延長症候群では、遺伝子診断率も50〜70%と高く、すでに10個の遺伝子型が同定され、遺伝情報が患者の治療や生活指導に還元されている。その他、薬剤などを原因とする後天性QT延長症候群、わが国を含むアジア地域で頻度の高いBrugada症候群、進行性心臓伝導欠損(Lenegre病)、家族性洞機能不全症候群、カテコラミン感受性多形性心室頻拍、催不整脈性右室心筋症、家族性心房細動、QT短縮症候群などでも、遺伝子変異が報告されている。しかし、先天性QT延長症候群以外の遺伝性不整脈疾患では、遺伝子診断率は低く、研究的側面を脱しているとはいいがたい。本シンポジウムでは、これらのイオンチャネル病の基礎から臨床の多岐にわたり、最新の知見を発表していただくとともに、今後の新たな展開を論議したい。