サテライトシンポジウムT 「術後不整脈の管理」
座長: | 日本医科大学 新田 隆 |
Washington University School of Medicine Ralph Damiano |
過去半世紀の間に心臓手術の成績は格段に向上し、現在ではほぼ全ての心疾患に対して有効かつ安全な外科治療が可能となった。しかし、術後に発生する不整脈は生命予後をも左右する合併症であり、発生機序や予防とともにその管理は重要な課題である。術直後に発生する徐脈性、頻脈性不整脈には様々なものがあり、その管理に難渋する場合も少なくない。特に心房細動は、心房細動手術後や高齢者に対する冠動脈バイパス手術後などでしばしば見られ、その一因として炎症の関与も指摘されている。一方、先天性心疾患に対する心内修復術、特に大血管転位症に対する心房内血流転換手術後やFontan手術後遠隔期では治療抵抗性の心房頻拍が発生し、突然死の原因ともなりうる。これらの心房頻拍に対するカテーテルアブレーションでは、焼灼標的部位へのカテーテルのアクセスが困難な場合も多い。Fallot四徴症根治術後遠隔期に心室頻拍が発生することがあり、カテーテルアブレーションの役割は大きい。外科用アブレーションデバイスの登場により心房細動手術は極めて低侵襲となったが、不完全なアブレーションでは術後難治性の心房頻拍が発生する。また、僧帽弁手術後においても心房頻拍が発生することがあり、いずれの場合もカテーテルアブレーションに際しては心房切開線と頻拍回路の位置関係の理解が重要である。心臓手術後不整脈の発生機序と対策、そして管理について多角的に議論する。
サテライトシンポジウムU 「CRTの現状と未来」
座長: | 横浜市立大学 石川 利之 |
小倉記念病院 安藤 献児 |
Dyssynchronyを伴う重症心不全に対するCardiac Resynchronization Therapy (CRT)の有用性は、既に確立したものとなっている。しかし、CRTはすべての心不全に有効な訳ではない。現在の適応基準により決定した場合、30%前後のnon-responderが存在する。non-responderとなる理由として、適応の問題、至適ペーシング部位へのリード留置の問題、設定の問題が上げられる。そこには、まだ多くの問題がある。CRTが改善できるのは、Dyssynchronyであって、ペーシング自体は収縮力を低下させることはあっても、増強させることはない。いかにDyssynchronyを捉えるかが問題となるが、現在のところ十分な方法はない。植え込みツールの進歩はCRTの有効率を高める可能性がるが、実際にはどうなのか。また、軽症心不全においてリモデリングの進行を止められれば予後改善が期待されるが、その効果は不明である。本シンポジウムにおいて、我が国におけるCRTの現状を認識し、その将来の展望について討議したい。
サテライトシンポジウムV 「心房細動の薬物療法」
座長: | 慶應義塾大学 三田村 秀雄 |
University of Nancy, France Etienne Aliot |
不整脈に対する様々な治療法が開発されるなか、依然として多くの患者を苦しめているのが心房細動である。治療戦略としてリズムコントロールとレートコントロールのどちらが望ましいかは、心房細動が発作性か持続性かによって異なるのみならず、使用される薬剤によっても影響を受ける。古くから心房細動の受攻性因子は心房の不応期であると考えられてきたが、必ずしもKチャネル遮断薬が有効なわけではない。一方、Naチャネル遮断薬は伝導を遅延させるにも拘わらずしばしば停止効果を示すが、その効果も心房細動が持続した後では減弱する。かかる場面では全く別の薬剤が奏功するが、その作用機序も十分に解明されていない。抗不整脈薬だけでなく、抗凝血薬の開発も盛んに進められ、また神経体液因子の修飾も重要なアップストリーム治療法として注目されている。本シンポジウムを通して、心房細動を取り巻く複雑な糸を一つずつ解きほぐして、より有効かつ安全な薬物治療の確立を目指したい。