第2回植込みデバイス関連冬季大会 ご挨拶

   この度、第2回 植込みデバイス関連冬季大会を開催する運びとなりました。

   近年の不整脈治療においては、大規模研究に基づくより細分化された薬物療法や、ペースメーカー、植込み型除細動器 (ICD), CRTP (心臓再同期療法), CRTD (ICDとCRTPの融合)等の各種デバイス治療法が可能になってきております。 ペースメーカーは確立された治療法と考えられておりましたが、心室頻脈性不整脈治療目的で広く用いられるようになったICDの研究から、従来行われてきた心尖部ペーシングに対する新しい疑問が噴出し、現在、ペーシング部位に対する検討が行われております。ICDに関しましては、始めは心室性不整脈による心臓性突然死の二次予防として開発されたデバイスでした。その後、左心室同期不全を改善する、心不全の治療デバイスとして開発されたCRTPの研究から、ICDとCRTPを融合させたCRTDが心不全患者の突然死を予防する、一時予防として用いられるようになってきております。 このように、一つのデバイスが他のデバイスを新しく見直し、お互いに融合し、新しい方向性を見出すような流れの中、一方では、以前から指摘されている、デバイス植込みに付随する電磁波干渉、ICDの不適切作動、感染症などの問題が完全に解決されないまま残留しております。現在はデバイスに関する過渡期であり、将来に繋げる非常に重要な時期に面していると考えられます。 このような流れ中で、我が国のおける、デバイスに関する問題点がいくつか顕在化しております。 現在の医療は科学的根拠に基づいた医療 (EBM : evidence-based medicine) が中心となっておりますが、その科学的根拠のほとんどは欧米の大規模試験に基づいております。 循環器疾患は、その疾患が発症する生活環境と密接な関係があり、我が国独自の科学的根拠が望まれますし、また、医療制度が欧米とは異なっているため、新しいデバイスの普及が遅れている感は免れません。さらに、医療体制として、所謂、立会い問題を含め、従来の医療制度からの変更を余儀なく求められております。 このような状況のなかで、本大会は、植込みデバイスに関する進歩の現状と問題点を明らかにして、これらの解決方法を討論する場として特徴付けられますが、その他に、我が国の医療行政の変革に鑑み、医師だけに留まらず、臨床検査技師、看護師、さらには臨床に携わる業者の方々にも教育、啓蒙的意義深い大会であることを目的としております。 このため、本大会では、我が国の科学的根拠に焦点を当てる目的のワークショップ、最新の技術や手技の習得を目的としたセミナー、パネルディスカッション、ビデオセッションから、今後、必要になると考えられるデバイスのプログラミングの習得を目的としたハンズオンセミナー等、多種多様なセッションが予定されております。
   本会の趣旨をご理解の上、先生方を含む多くの医療関係の方々のご参加をお願い申し上げます。

   末尾ではございますが、先生方の益々のご発展を祈念いたしましてご挨拶とさせていただきます。

敬具

第2回植込みデバイス関連冬季大会
会長  杉  薫 (東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科教授)

会長 杉 薫
会長  杉  薫 
(東邦大学医療センター大橋病院 
循環器内科教授)
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