近年、植込みデバイスを用いた心臓病治療は、致死性心室性不整脈による心臓突然死予防を目的とした植込み型除細動器(ICD)や心不全に対する心臓再同期療法(CRT)などの導入により、 新しい方向へと更なる発展を遂げています。また、従来の徐脈性不整脈に対するペーシング治療においても、右心室ペーシングで惹起される心機能低下の可能性が指摘され、 植込み後のQOLと遠隔期の生命予後を視野に入れたペーシング治療の研究が盛んに行われています。さらに、心房細動の発生を予防する観点から様々な頻拍抑制機能を駆使した機種が登場し、 当初は心拍数の維持が目的であったペーシング治療に、より包括的な不整脈治療デバイスとしての可能性を見いだすことができます。 このように近年のデバイスの技術革新には目覚ましいものがある一方で、植込み機器の不具合は完全には防止することはできず、またデバイス植込みに伴う合併症の中には難治性かつ重篤で治療に難渋するものもあります。
このように発展的で複雑な治療体系の変化を考慮すると、これからの植込みデバイス治療においては対象疾患と植込みデバイスに対する深い理解が不可欠であり、医師だけではなく臨床工学技士、 看護師や放射線技師などのコメディカル、CDRを含めたチームとしての医療を推し進めていく必要があります。また、医療安全の観点からも、 植込みデバイスに関連したトラブルシューティングに必要とされる知識と技術は広範で、しかも医師とコメディカルが連携して行う確実かつ実践的なものが要求されています。 さらには、デバイスの植込み手術やフォローアップの立ち会いやCDR制度の確立と熟成も切望されていることから、デバイス植込みに従事するすべての医療関係者が一堂に会した総合的な研究会の設立が急務であると考えられます。
以上のような背景と経緯に鑑み、日本不整脈学会では理事会の承認の下、植込みデバイス関連4委員会(ペースメーカ植込み調査委員会、ICD委員会、ペーシングによる心不全治療委員会、 電磁波干渉/不具合に関する検討委員会)と教育・研修委員会とで協議を行い、植込みデバイス関連冬季大会を設立するに至りました。第1回大会では、 医師だけでなくコメディカルにとっても教育的意義の深いテーマを中心としたセミナーやパネルディスカッション、植込み手技などをテーマとしたビデオセッション、 プログラミングを習得するためのハンズオンセミナーなどを数多く企画しています。また、デバイス植込みに関連した一般演題も広く募集しますので、 医師だけでなくデバイス治療に関係する臨床工学技士や看護師などコメディカルからの演題応募をお待ちしております。
第1回植込みデバイス関連冬季大会