第30回 日本心電学会学術集会 | The 30th Annual Scientific Meeting of the Japanese Society of Electrocardiology

会長挨拶

奥村 謙会長
ご挨拶

奥村 謙
弘前大学大学院医学研究科
循環呼吸腎臓内科学

 第30回日本心電学会年次学術集会を平成25年10月11日(金曜日)、12日(土曜日)の2日間、青森市に於いて開催することとなりました。第30回という節目の学術集会だけになお一層力を入れ、会員の方々のご協力をいただきながら、弘前大学循環器内科の教室をあげて魅力ある学術集会となるよう精一杯努力する所存です。どうぞ多くの会員の方々にご出席いただきますようお願い申し上げます。
 第30回学術集会のメインテーマは、「心電学イノベーション:iPS細胞の活用から3Dイメージングまで」としました。心電学は心電現象を種々の手段で捉え、これらを心臓の生理・病理、心疾患の診断、そして治療法(薬)の評価等に応用する学問です。臨床的には標準12誘導心電図と24時間心電図を中心とする非侵襲的診断評価法から始まり、ヒス束心電図検査に代表される心臓電気生理検査により多くの不整脈の病態生理が解明されました。一方、基礎分野では活動電位記録による心筋細胞電気現象の評価から始まり、パッチクランプ法等を用いたイオン電流、そしてイオンチャネルを構成する蛋白およびその構造に関わる遺伝子等の解析により、多くの新しい知見(イオンチャネル病等)が得られてきました。最も大きな進歩はiPS細胞やES細胞を用いた個々人の心筋細胞の再現で、病態解明や薬物の作用等、テーラーメードで評価可能となったことです。臨床面では医用テクノロジーの開発・普及、とくに3次元(3D)イメージングの発展により、各心腔の電気的・解剖学的情報が正確に得られるようになりました。多くの新知見が得られ、またアブレーション技術の発展もあり、20世紀には難治性であった不整脈も治療可能となりました。これらの心電学イノベーションは心臓電気現象を理解する上で重要となるだけでなく、心臓病で悩まれる多くの患者さんにも新しい治療法の開発を介して朗報をもたらしています。第30回学術集会では、最新の心電学イノベーションを会員の方々と一緒に学び、将来の発展へとつなぐことができたらと思っています。
 10月中旬の青森は自然も、食文化も楽しめます。とくに八甲田山では見事な紅葉を楽しむことができるでしょう。海の幸、山の幸ともに一番豊かな季節です。自然と文化に彩られた青森にぜひ足を運んでいただき、学術集会とみちのくの秋を楽しんでいただけたら幸いです。