【はじめに】

 この度、皆様には、私どもの研究「洞不全症候群のプレシジョン医療実現化に向けたAll-Japanプロジェクト(J-PRES3)」にご協力いただき、ありがとうございます。この研究は、皆様の血液から「遺伝子」を抽出し、洞不全症候群の起こりやすさを決める「遺伝的な素因」を究明することを目指します。
 「遺伝子」とは、人間の身体を作る設計図にあたるものです。人間の身体は、約60兆個の細胞からなっていますが、遺伝子は細胞一個一個の中の「核」という部分に入っています。人間の身体は、この遺伝子に基づいて成長し、維持されています。また、遺伝子は病気にも関係しています。これまでに遺伝子と病気の関係について研究が行われてきましたが、未だ解明されていない病気が数多くあります。近年、技術革新が進んだことで、ゲノムワイド関連解析という遺伝子全体を包括的に解析することが可能となりました。これによって、これまで原因不明だった病気について究明できる可能性が広がっています。
 洞不全症候群は頻度の高い不整脈で、年齢とともに発症率が高まります。心臓に定期的な鼓動を与える電気信号の機能が低下し、脈が非常に遅くなったり、逆に非常に早くなったりする不整脈です。さらには脳梗塞の原因となる心房細動という不整脈を合併しやすいことがわかっています。そのため、病状に応じて適切な治療と予防をすることが必要です。しかし、これまでの研究ではその原因やメカニズムは解明されていません。
 私どもは、ゲノムワイド関連解析という手法を用いて、洞不全症候群へのかかりやすさを左右する「遺伝的な素因」を究明し、個人のリスクに応じたオーダーメイドの治療法や予防法を開発することを目標にしています。

【研究内容】

(1) 対象となる患者さん
医師に洞不全症候群と診断され、この研究に同意いただける方
(ただし、医師が参加に適切でないと判断する場合があります。)

(2) 調査項目
 対象患者さんから10mLの採血をさせていただきます。その血液と各医療機関でのこれまでの治療経過の概要を国立循環器病研究センターで集積します。血液からゲノムDNAを抽出し、国立循環器病研究センターと東京医科歯科大学疾患バイオリソースセンターとで遺伝子解析を行います。

(3) 研究期間
この研究は、2019年3月から2025年3月31日まで行われます。

(4) 参加人数
全国の洞不全症候群患者さん3,000人の参加を予定しています。

【予想される利益と不利益】

(1) 予想される利益(効果)
 この研究に参加いただくことで、病気の原因やメカニズムを明らかにし、将来に同じような病気で苦しむ患者さんのためになります。つまり、医療の進歩に貢献できます。

(2) 予想される不利益
 この研究で得られる成果はとても複雑かつ包括的なため、個々の患者さんの診断や治療へすぐに還元できるものではありません。また、非常に稀ですが、遺伝子解析によって今回の研究とは全く関係のない遺伝的なリスクが判明することがあります。その場合は、あなたのご意向をお尋ねした上で主治医よりお知らせすることがあります。遺伝カウンセリングなどの専門的なサポートについてもお伝えします。そのほか、個人情報漏洩のリスクがありますが、十分に配慮して最大限の対策を行います。

【研究への参加は任意です、途中撤回も可能です】

 あなたがこの研究に参加されるかどうかは、あなたご自身の自由な意思でお決めください。この研究への参加を強制するものではありませんので、参加したくない場合には遠慮なくお申し出ください。あなたがこの研究に協力する、しないに関わらず、各医療機関ではあなたにとって最善の医療を常に提供いたします。
 また、一旦同意した場合でも、あなたが不利益を受けることなく、いつでも同意を撤回することができます。各医療機関へお申し出ください。その場合、遺伝子を調べた結果や取得した情報などは廃棄され、それ以降はこの研究に用いられることはありません。ただし、同意を取り消した時にすでに研究結果が論文などで公表されていた場合には、完全に廃棄できないことがあります。

【研究倫理について】

 観察研究とは、より良い診断や治療のために患者さんの医学的なデータを観察し、解析する研究です。研究を実施するにあたっては、患者さんの人権や安全性への配慮が最も大切です。観察研究は、「ヘルシンキ宣言」や「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に則り実施され、本研究もこれらの指針を遵守し行われます。また、各施設の倫理審査委員会で十分な審査を行い、その承認を受けて実施されています。

【個人情報の取り扱いについて】

(1) 個人情報の保護について
 あなたから提供された血液や診療情報などの研究に関するデータは、個人が特定されないように処理し(匿名化(とくめいか))、外部に漏れないように厳重に管理します。また、この研究で得られた成果は、医学雑誌や学会などで公表しますが、あなたの名前などの個人情報は一切わからないようにしますので、プライバシーは守られます。

(2) 得られた検体・データの保管と廃棄について
 提供された血液は論文発表後5年間、診療情報は論文発表後10年間、国立循環器病研究センターで適切に保管します。その後、特定の個人を識別できないようにして廃棄し、あなたの個人情報が外部にもれないようにします。

【国立循環器病研究センターバイオバンクについて】

 バイオバンクとは、血液、手術や検査で採取された生体試料、治療経過、検査データなどを匿名化して収集し、将来の医学研究のために保管して、所定の審査後に研究者へ提供するシステムです。国立循環器病研究センターをはじめ、世界中で整備が進んでいます。
 この研究についても、あらかじめ同意いただける場合には、得られたDNA、遺伝子解析結果、診療情報などを国立循環器病研究センターバイオバンクに寄託します。将来、二次的に医学研究へ利用される場合は、厳正な審査を受けて実施されます。その際、あなたの個人情報が漏れることはありません。

【費用負担はありません】

 この研究は国や財団からの研究費などで実施されるため、あなたの費用負担はありません。また、あなたへの謝礼も発生しません。

【利益相反について】

 研究グループが公的資金以外に製薬企業などからの資金提供を受けている場合に、臨床研究が企業の利益のために行われているのではないか、あるいは臨床研究の結果の公表が公正に行われないのではないか(企業に有利な結果しか公表されないのではないか)などといった疑問が生じることがあります。これを利益相反(患者さんの利益と研究グループや製薬企業などの利益が相反している状態)と呼びます。
 この研究は企業や団体の関与はなく、研究の透明性や信頼性が損なわれるようなことはありません。その旨は、国立循環器病研究センターの利益相反委員会の承認を得ています。

【知的財産権について】

 この研究から何かの成果が生まれ、知的財産権(人の考えた事が、社会的に価値があると認められ、そこにお金が発生する事)が生じる可能性がありますが、その権利は全て研究グループおよび国立循環器病研究センターにあります。

【研究結果の公表】

 この研究の成果は、個人情報が特定できないように匿名化した上で、医学雑誌・学会発表・データベース等で公表します。

【お問い合わせ】

 この研究に関してお聞きになりたいことがありましたら、以下の担当者へお問い合わせください。

国立循環器病研究センター 分子生物学部 部長 大野聖子
大阪府吹田市岸部新町6-1 06-6170-1070(代表)(内線31019)