心臓手術後の不整脈とは?
心臓手術は、心臓の壁を切って縫い合わせたり、時には心臓の動きを薬などで一時的に止めたりして行います。そのため、特に心臓や周囲の心膜では術後に強い炎症を起こす場合があります。特に術後1~2ヵ月間で不整脈が多く認められますが、これは手術に伴う炎症によって引き起こされるものです。また、心臓から発生した電気が、傷つけられた心臓の壁の周囲を旋回する場合があり、こちらも不整脈の原因になります。これらを術後不整脈と呼び、術後間もない急性期から数年以上経過した慢性期・遠隔期までに見られます。心臓手術をした患者さんの25%程度に、何かしらの術後不整脈が出現するといわれています。
原因
術後不整脈の原因や発生時期、持続期間は、もともとの心臓病や術式によって異なります。術後の管理方法なども原因といわれています。人工心肺操作を行うと、術後に不整脈が現れやすくなるという報告もあります。
術後不整脈の種類
急性期に出現し、数週間以内に軽快する一過性のものがほとんどで、心房細動を含む上室性不整脈がよく見られます。術式別に起こりうる不整脈について簡単に説明します。
■冠動脈バイパス術
主に、心房頻拍(切開瘢痕旋回性リエントリー)、一過性房室ブロック、一過性心房細動や心房粗動が起こる恐れがあります。
■弁膜症手術
大動脈弁手術では、手術の合併症として房室ブロックが出現する場合があります。僧帽弁手術はメイズ手術との合併手術が多いため、「メイズ手術」の項を参照ください。
■メイズ手術
メイズ手術は心房細動を治療する手術ですが、術後に頻脈性不整脈では心房頻拍など、徐脈性不整脈では洞不全症候群などが見られます。多くは、高度な電気生理学的検査により診断されます。
■左室形成術
心室頻拍などの致死性不整脈を発症する場合があります。
■先天性心疾患手術
心内修復術が行われる場合が多く、心房性、心室性ともに出現する恐れがあり、その種類も多彩です。多くは、高度な電気生理学的検査により診断されます。
治療方法
術後の炎症に伴う一過性の不整脈は、通常1ヵ月以内に消失し、その後は治療も必要としません。ただし、しばらくたってから再び出現、または持続する不整脈で、症状や心不全を引き起こす場合には、治療も考慮されます。
徐脈性不整脈の場合、多くは電気で刺激して脈を戻すペーシング治療を行います。頻脈性不整脈の場合は、薬物療法やカテーテルアブレーション術が選択されることもあります。いずれにしても、術後の不整脈は複雑であることが多いため、不整脈専門医のいる医療機関の受診をお勧めします。