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発作性上室頻拍とは?

 突然脈拍が速くなり、動悸を強く感じる不整脈です。しばらくすると症状はおさまりますが、脈拍がかなり速くなると、めまいや失神などをきたす場合もあります。
 心臓は2つの心室が下方に、2つの心房が上方に位置していますが、発作性上室頻拍は、心室よりも上方で発生します。心室よりも上方で起こる頻拍を発作性上室頻拍と呼びます。

原因

 心臓には、上方に右心房・左心房、下方に右心室・左心室があります。右心房にある洞結節から電気が発生し、それが房室結節という電気の伝導路を通って、心室に伝わります。心室は電気が伝わると収縮し、血液を全身に送り出します。これが繰り返されて、規則正しい拍動が保たれているのです。ところが、先天的に房室結節以外の伝導路をもっている場合があり、これが発作性上室頻拍の原因となります。
 そのほか、飲酒やカフェイン摂取、疲労、ストレスなどが誘因ともいわれています。

分類

 発作性上室頻拍は伝導路の部位によって、房室結節リエントリー性頻拍房室回帰頻拍の大きく2つに分かれます。なお、洞結節以外の部位からペースの速い電気が発生して頻拍になる場合(異所性心房頻拍)もありますが、非常にまれです。

■房室結節リエントリー性頻拍

 房室結節に伝導路が2本あります。通常の伝導路(心房から心室に伝える)とは異なり、逆行する伝導路(心室から心房に伝える)があるために、電気は房室結節内の小さな回路をぐるぐると旋回する場合があります。この異常な回路のことをリエントリーと呼びます。心房から房室結節に向かう伝導路は伝導が遅く(遅伝導路)、逆行する伝導路は伝導が速い(速伝導路)ため、心房と心室はほぼ同時に興奮することになり、心拍数が急激に上がります。

■房室回帰頻拍

 心房と心室の間には房室弁と呼ばれる弁があり、血液は一方向性に流れますが、房室弁の周囲に房室結節とは別に余分な伝導路(副伝導路)がある場合に起こる頻拍です。何かの拍子に電気的な興奮が心室から副伝導路を逆行し心房に戻って、その興奮が房室結節を介して再び心室に向かいます。このように大きな回路をぐるぐると旋回することにより、頻拍が生じます。
 先天的に副伝導路(ケント束)のある病気をWPW症候群といいます。WPW症候群は副伝導路の部位によりA型(左房と左室の間)・B型(右房と右室の間)・C型(右室と左室を隔てる壁〔中隔〕)に分かれますが、A型が多い傾向にあります。

症状

 突然始まる動悸が典型的な症状です。脈拍数は100拍/分以上になりますが、リズムが一定であることが特徴です。動悸が起こった直後に血圧が下がり、ふらつきやめまいを感じる場合もあります。

診断方法

 心電図検査時に発作が現れれば診断がつきますが、現れないことも少なくありません。そのようなとき、携帯型心電計で記録することは有用です。検脈も役に立ちます。発作性上室頻拍では、リズムが一定でやや弱い脈拍が100~200拍/分程度数えられます。

治療方法

 患者さん自身で行える処置としては、迷走神経(副交感神経)刺激法が挙げられます。息を大きく吸ってこらえる(バルサルバ法)、冷たい水に顔をつけるなど、安全かつ簡便に行えますので、試してみるのもよいでしょう。
発作を繰り返す場合や、生活に支障をきたすほどの症状がある場合は、薬物療法(アデノシン三リン酸、ベラパミルなど)やカテーテルアブレーション術を行います。カテーテルアブレーション術で回路の一部を焼灼すると、ほぼ完治させることができます。

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