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2.心臓の病気にはどのようなものがあるの?

 心臓の病気といっても、その種類は様々です。ここでは代表的なものを簡単に説明いたします。

心不全

 心臓は電気を発生させる能力をもっています。発生した電気が連絡路を通って心筋を刺激することにより、心臓は規則正しく収縮と拡張を繰り返し、全身に血液を巡らせます。このように、心臓は全身に血液を巡らせるポンプとしての機能をもっています。
 心不全とは、様々な心臓病や高血圧などによってポンプ機能が低下した状態をいい、ひとつの病気の名前ではありません。例えば心筋梗塞や弁膜症、不整脈によって心不全が起きるといえばわかりやすいでしょうか。症状としては、動悸、息苦しさ、浮腫などが現れます。

不整脈

 心臓が全身に血液を巡らせるために収縮・拡張運動しており、これを拍動と呼びます。ところが、電気が正常に発生しなかったり、連絡路が通行止めになったりすると、拍動が乱れます。これを不整脈と呼び、症状として動悸や胸の痛み、呼吸困難、めまいなどが現れます。不整脈は脈の速い頻脈性不整脈と脈の遅い徐脈性不整脈、脈の飛ぶ期外収縮に大別され、そのなかでも様々な種類があります。

虚血性心疾患

 血管が硬くなって弾力性を失った状態を動脈硬化と呼び、加齢や生活習慣病(脂質異常症、高血圧、糖尿病)が発症の原因といわれています。動脈硬化になった血管は、プラーク(コレステロールなど)が付着・蓄積することにより、狭くなって血流が滞ったり、完全に塞がってしまったりします。この動脈硬化によって引き起こされる病気のひとつが、虚血性心疾患です。
 心臓に酸素や栄養を運ぶ血管を冠動脈と呼びます。冠動脈は3本あり、心臓を包み込むように心臓の表面を走行します。この血管が動脈硬化になり、血流が滞って心筋が栄養不足・酸素不足になると狭心症に、完全に塞がって心筋が壊死すると心筋梗塞に陥ります。

虚血性心疾患の原因となる動脈硬化
コレステロールなどが付着・蓄積して、血管が狭くなったり塞がったりする。
■狭心症

 動脈硬化により冠動脈の血流が滞ると、心筋の酸素が不足し、胸の痛みや動悸、息苦しさなどの症状が現れます。血液がまったく流れない状態ではないため、心筋梗塞に比べ、症状は短時間で治まる傾向にありますが、心筋梗塞に移行する恐れもありますので、注意が必要です。

■心筋梗塞

 動脈硬化により、冠動脈が完全に塞がって血液がまったく流れない状態になり、激しい胸の痛み、圧迫感などの症状が現れます。狭心症も胸の痛みを伴いますが、安静にしていても激しい痛みが続く場合は、心筋梗塞の疑いがあります。数時間経過すると痛みが治まってきますが、これは心筋の壊死が始まったためです。このまま進行すると呼吸困難や血圧低下、意識障害に陥り、死に至る恐れもあります。一刻も速く、医療機関を受診してください。

弁膜症

 心臓は、左心房・左心室、右心房・右心室の4つの部屋に分かれており、心房と心室の間、左右の心室から血管への出口に(扉)があります。弁は閉じたり開いたりして、血液が逆流するのを防ぎます。しかし、弁が正常に働かなくなると、血液の流れが悪くなったり(狭窄)、逆流したり(閉鎖不全)します。
 発症の原因は先天性のほか、加齢に伴う弁の変性や石灰化といわれており、症状として息切れや胸の痛み、安静時および活動時の動悸があげられます。これらの症状は「加齢による身体の変化」と捉えられ、見逃されがちです。悪化すると、心臓の機能が低下し、最終的には心不全に至る恐れもあります。

心筋症

 冠動脈や弁に問題がないにもかかわらず、心筋自体に異常をきたし、ポンプ機能が低下することがあります。これを心筋症と呼び、拡張型心筋症肥大型心筋症拘束型心筋症の3つに分けられます。拡張型心筋症は心室の筋肉が薄くなって、血液を送り出すための収縮機能が低下します。肥大型心筋症は心室の筋肉が厚くなって硬くなり、血液を受け入れるための拡張機能が低下します。また、厚くなった心筋の部位によっては、血液の流出路が狭くなり、血流が障害されます(閉塞性肥大型心筋症)。拘束型心筋症は、心室の筋肉の厚さや収縮機能が正常であるにもかかわらず、心室が硬くなって拡張しにくくなる病気ですが、我が国での発症は非常に稀といわれています。いずれも、息切れや浮腫、疲れやすいなどの症状がみられ、重篤になると、心不全や致死性の不整脈になる恐れもあります。

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