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心臓の病気について – 不整脈 – 洞不全症候群

洞不全症候群 (Sick Sinus Syndrome SSS)

日本大学医学部内科学系循環器内科学分野 横山 勝章

1.始めに

 心臓が鼓動するリズムは心臓を伝導する電気信号によって決まります。このような電気信号の始まりである洞結節は右心房の上部に存在し、交感神経や副交感神経などの自律神経作用の影響をうけ心拍数を調節する重要な場所です。

 洞結節の細胞自体やその周辺に存在する心房筋の障害によって、心拍数が減少し徐脈や心停止をおこす場合があり、その結果として脳への血流が途絶えることで意識障害や失神などの症状をおこす病気を洞不全症候群(SSS)と呼びます。

2.洞不全症候群の種類

①洞性徐脈

常に脈拍数が40~50/分(1分間に40~50回拍動)以下に減少。

②洞停止または洞房ブロック

洞結節からの電気信号が一過性に停止または心房に伝わらないことによって起こる。

③徐脈頻脈症候群

心房細動心房粗動発作性上室性頻拍などの頻脈性不整脈が出現し自然停止した直後におこる心房停止。

3.洞不全症候群の原因

 洞不全症候群の原因として、最も多いのは加齢による洞結節または周辺の心房筋の線維化による伝導障害です。そのほかに虚血性心疾患、高血圧症、先天性心疾患、心筋症などがありますが、慢性腎機能障害による電解質異常や甲状腺疾患によっておこることもあります。

また高血圧治療薬や虚血性心疾患治療薬、抗不整脈薬、精神疾患治療薬などの薬剤によって引き起こされる場合もあります。

4.洞不全症候群の症状

 洞不全症候群の症状は、心停止または徐脈に伴う脳虚血症状(失神、めまい、目の前が暗くなる、一瞬気が遠くなるなど)や運動時の息切れや疲労感、心不全の悪化による呼吸困難として現れる場合があります。
 夜間睡眠中におこる場合は無症状で経過することもありますが、日中にこれらの脳虚血症状により転倒した場合には時に重大な頭部外傷をもたらす危険もあります。

 これらの症状をおこした時の心電図を記録し確認することで洞不全症候群は診断されます。体表面12誘導心電図、24時間ホルター心電図、携帯型簡易心電計などでわからない場合は、心臓電気生理学的検査を施行することもあります。

5.洞不全症候群の治療

 治療は恒久的ペースメーカ治療で、徐脈または心停止による脳虚血発作が明らかである場合や徐脈頻脈症候群と診断された場合はペースメーカ治療の適応となります。

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