心室頻拍とは?
心室が興奮して痙攣し、100回/分以上拍動する頻脈の状態を心室頻拍と呼びます(正常な心臓の拍動は安静時に60~100回/分)。拍動は速いものの、規則的であることが特徴です。軽症の場合は無症状であることも少なくありませんが、重症化すると突然死に至る恐れもあるので、注意が必要です。
原因
心筋梗塞や心筋症、弁膜症などの心臓の病気がある方、特に心臓のポンプ機能が低下している方に発生しやすいですが、ポンプ機能が正常な方にも発生する場合があります。そのほか、睡眠不足、肉体的・精神的ストレス、喫煙、刺激の強い飲食物(飲酒やカフェインなど)が誘因ともいわれています。
分類
心室頻拍はその持続時間によって、30秒以上続く持続性心室頻拍、30秒未満の非持続性心室頻拍に分類されます。そのほか、ほかの心臓の病気がなく発症する場合を特発性心室頻拍と呼びます。
症状
心室は血液を全身に送り出す役割を果たしています。心室頻拍になると、心室が痙攣した状態になることから、全身に十分な血液を送り出せなくなります。その結果、血圧が低下して、息切れ、めまい、ふらつき、動悸などが現れます。非持続性心室頻拍では無症状の場合も少なくありませんが、重症化すると失神したり、心室細動に移行して突然死に至ったりする恐れもあります。

めまいやふらつきが現れる
診断方法
主に、安静時12誘導心電図検査(標準12誘導心電図検査)、ホルター心電図検査などによって診断します。検査中に発作が現れないことも多いため、電気生理学的検査を行って、発作を誘発させて診断する場合もあります。そのほか、心臓超音波検査、心臓CTや心臓MRIなどの画像診断により、ほかの病気の有無を調べることもあります。
治療方法
自覚症状、年齢、心室頻拍の発生部位や持続時間など、心臓のポンプ機能の状態、もっている心臓の病気などを考慮して、治療方法を決定します。特発性心室頻拍では日常生活が関係していることも多いため、喫煙や飲酒、カフェインの摂取量などを見直したり、規則正しい日常生活を心がけたりすることも大切です。

① 薬物療法
ほかの心臓病を合併していない(特発性心室頻拍)場合、ほかの心臓病を合併している場合に分けて説明します。
■ほかの心臓病を合併していない(特発性心室頻拍)場合
心室頻拍の発生部位により、使用する薬を決定します。頻拍停止のために、β遮断薬やベラパミル、プロカインアミド、ジルチアゼムなどの静注薬を使用します。頻拍が停止した後、再発を予防するために、β遮断薬、ベラパミル、ジルチアゼム、Ⅰ群抗不整脈薬などの経口薬を使用します。
■ほかの心臓病を合併している場合
まず、心臓や血管の状態、循環している血液量などにより、頻拍停止のための薬を決定します。主に、アミオダロンやニフェカラント、リドカイン、プロカインアミド、ランジオロールなどの静注薬を使用します。その後、再発予防のための薬を心機能の状態によって決定します。主に、アミオダロンやβ遮断薬、ソタロールやべプリジルなどの経口薬を使用します。
② カテーテルアブレーション術
薬物療法によって頻拍を停止させたのち、再発を予防するために、心電図検査で頻拍の原因となっている部位を特定し、カテーテルで焼灼します。特発性心室頻拍の場合は根治する可能性が高いといわれています。
③ 植込み型除細動器植込み術
持続性心室頻拍の場合、突然死を予防するための長期的な治療が必要となります。ほかの心臓の病気がある、心臓のポンプ機能が低下しているなどの場合は、主に植込み型除細動器(ICD)植込み術を行います。
心室頻拍を感知すると、ICDは速い電気刺激を数秒間与えて、心拍を正常に戻します。この治療は抗頻拍ペーシングと呼ばれ、ごく弱い電気刺激であることから、不快感を伴うことはほとんどありません。効果が見られない場合は、比較的軽めの電気ショックを与えて心拍を正常に戻します。この治療はカルディオバージョンと呼ばれ、電気ショックによる治療であることから、「不意に胸をたたかれたような」不快感を伴う場合があります。
再発予防のために、ICD植込み後に抗不整脈薬を併用する場合もあります。