「抗不整脈薬の功罪を問う」
抗不整脈薬は、不整脈の発生機序とされる心筋の異常自動能、伝導性などを適度に修飾(抑制)し頻脈性不整脈を停止させ洞調律を回復させること、あるいは不整脈の発症抑止(予防)を目的として使用する薬剤である。今日では、数多くの抗不整脈薬が市場にあり適材適所での使用を可能としている。これらの多くは作用する心筋イオンチャネルは単一ではなく、主作用により同様なグループに分類されても必ずしもその臨床効果は同様ではない。すなわち個々の薬剤は類似点があっても異なるものであり、また、臨床使用に際してはその安全域が他疾患治療薬と比べ狭い薬剤である。さらにQT延長などによる催不整脈作用が知られ、一般には使用しにくい薬剤とみなされている、そこで個々の薬剤の電気薬理学的プロフィールを明らかにするとともに、各不整脈につきその発症機序を検討し、効果を得るためにはどのような薬理作用が適当であるかといった視点からシシリアンガンビットがまとめられた。十数年が経過した今日では、この領域は更なる進歩を遂げている。しかし、その全容は十分には知られていない現状がある。そこで不整脈薬物治療の領域で第一線で指導的立場にある先生方をお招きして公開講座を開催する運びとなった。臨床現場の種々のニーズに応えるため、最新の電気薬理学的知見、実際の治療指針の立て方、催不整脈作用を含めた抗不整脈薬のPitfalls、薬剤・処方を管理する立場での抗不整脈薬適正使用を目指した取り組みなど、今日の不整脈薬物治療の現状を紹介できればと考えている。多数の薬剤師・MRの皆様の参加をお待ちします。 演題・演者 1.各種抗不整脈薬の種類とその特徴 〜Vaughan Williams分類からSicilian Gambitまで〜 神谷香一郎(名古屋大学環境医学研究所 心・血管分野) 2.抗不整脈薬の適応と使い方のこつ 村川裕二(帝京大学医学部附属溝口病院第四内科) 3.不整脈治療における抗不整脈薬のPitfalls 庭野慎一(北里大学医学部循環器内科学) 4.抗不整脈薬の適正使用を目指した病院薬剤師の役割 上野和行(新潟薬科大学薬学部医薬品情報学) |