教育講座

臨床検査技師・看護師対象のセッションです。
教育講座1・2の聴講には事前登録が必要です。聴講票(申し込みを受け付けた方に送付)をお持ちでない方は入場できません。聴講を希望される方は、各共催企業のウェブサイトからお申込み下さい。
会場に到着されましたら、学術大会受付にて学会参加費(1日券:3,000円、4日間通し券:8,000円)をお支払いのうえ、会場前(第2会場)までお越しください。聴講票の確認をさせていただきます。
*メディカルプロフェッショナルの方で、本教育講座1セッションのみ参加される方は1日券が必要になります。
*本教育講座は、それぞれ認定心電検査技師制度認定更新の要件(10単位)に該当します。なお、更新単位の付与につきましては、遅刻(20分以上)、早退は認められておりません。
*定員になり次第締め切りといたします。

教育講座1

日時:2016年7月15日(金曜日)18:10〜21:10
会場:札幌コンベンションセンター 第2会場(大ホールA)
テーマ:『コメディカルに伝えたい!心電図の基本的な読み方』

座長:井上 博(済生会富山病院)
   池田 隆徳(東邦大学医学部内科学講座循環器内科学分野)
演題・演者:
1.ホルター心電図における不整脈診断の基本
  髙橋 尚彦(大分大学医学部循環器内科・臨床検査診断学講座)
2.虚血性心疾患の心電図診断の基本
  前村 浩二(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科循環器内科学)
3.ペースメーカ心電図の読み方の基本
  安部 治彦(産業医科大学医学部不整脈先端治療学)

共催:フクダ電子株式会社・教育講座1係
   TEL:0120-07-9880(お客様窓口) FAX:03-5684-1318

教育講座2

日時:2016年7月16日(土曜日)18:00〜21:00
会場:札幌コンベンションセンター 第2会場(大ホールA)
テーマ:漕ぎ出でよう!心電図という海原へ

座長:里見 和浩(東京医科大学循環器内科)
演題・演者:
1.心電図を系統的に捉えるために:現代的な読影法を探る
  香坂 俊(慶應義塾大学医学部循環器内科)
2.実際の症例から学ぶ不整脈の心電図診断から治療まで
  江島 浩一郎(東京女子医科大学循環器内科)

共催:日本光電工業株式会社・教育講座2係
   TEL:03-5348-1587 FAX:03-5348-1589

教育講座1『コメディカルに伝えたい!心電図の基本的な読み方』


 循環器診療に携わるコメディカルにとって心電図は欠くことのできない検査である。心電図を正確に読むことができれば診療の幅が大きく広がる。心電図が正常かどうかの判断はある程度できても、一歩踏み込んだ判読あるいは医師に助言できるまで理解しているコメディカルは少ないように思われる。その理由は、心電図にはバリエーションがたくさんあり、心疾患ごとの特徴的な所見を覚えなければならないためである。どの学問においても王道はなく、地道に1つ1つ理解していくことがエキスパートになるための早道かもしれない。日本不整脈心電学会では毎年学術集会の時にコメディカル向けの心電図セミナーを開催しており、今回は「コメディカルに伝えたい!心電図の基本的な読み方」と題して、この領域に造詣が深く、かつ話し上手なお3人の先生方をお招きして講演していただくことにした。
 高橋尚彦先生には、ホルター心電図における不整脈診断の基本と題して、徐脈性および頻脈性不整脈の心電図診断のポイントについて、わかりやすく解説していただく予定である。次に、前村浩二先生には、虚血性心疾患の心電図診断の基本、特に12誘導心電図の波形診断のポイントについて、明快に解説していただく予定である。最後に安部治彦先生には、ペースメーカ心電図の読み方の基本として、ペースメーカの仕組みから心電図の読み方まで、これまでの経験を踏まえながら解説していただく予定である。
 臨床検査技師、看護師、薬剤師のみならず、心電図の判読を苦手にしている若手医師にも聴講を是非お勧めしたい。

虚血性心疾患の心電図診断の基本


長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学
前村浩二


 心電図は最も安価で侵襲性のない検査であり、虚血性心疾患の診断でまず行うべき検査である。また初期診断のみでなく、虚血性心疾患の発症あるいは治療後の経過観察にも重要である。臨床現場では、コメディカルの方が心電図検査する機会が多い。そのため検査をした方が即座に心電図所見を判読できることで、急を要する所見のある患者への初期対応を早くすることができる。また病棟でモニター観察中の患者の心電図変化を最初に発見するのもコメディカルであることが多く、心電図判読に習熟することは極めて重要である。
 本セミナーでは、虚血性心疾患の心電図判読のコツを、症例を提示しながら解説したい。特に心筋梗塞の際の心電図の典型的な経時的変化や、ST上昇や異常Q波の出現部位による梗塞部位の推測を、心臓超音波検査や冠動脈造影の所見も提示しながら解説したい。またST上昇を来す疾患の鑑別、ST低下を来す疾患の鑑別や、見逃しやすい心筋虚血の所見など、急性心筋梗塞や不安定狭心症を診断する上でのチップスについても紹介したい。

ホルター心電図における不整脈診断の基本


大分大学医学部循環器内科・臨床検査診断学講座
髙橋尚彦


 不整脈診断の基本は調律の判読である。調律=リズム=Rhythmとは、“その時の心臓全体の拍動を支配している領域や状態”を意味する。例えば心室細動は、“心室”という領域がぶるぶる震えながら(“細動”)、心臓全体を駆動している状態である。“心室細動調律”と表現した方が理解しやすいかもしれない。徐脈性不整脈には洞不全症候群と房室ブロックがある。徐脈時にはしばしば補充調律が認められる。頻脈性不整脈は上室性と心室性に分類される。RR間隔の規則性とQRS幅に注目すると判読能力がアップする。QRS幅が狭くなる(=正常)必要条件は、房室結節を順行性に下ってきた興奮が健常な脚を介し、右室と左室を速やかに興奮させることである。心室期外収縮や心室頻拍では心室の興奮症式が複雑になるためQRS幅が広くなる。RR間隔が不規則になる頻脈性不整脈の代表が心房細動である。本セミナーでは、ホルター心電図に記録された波形をみて、その患者(被検者)の心臓がどのように拍動しているかを具体的にイメージできるよう解説したい。

ペースメーカ心電図の読み方の基本


産業医科大学 不整脈先端治療学
安部 治彦


 徐脈性不整脈患者の治療は、ペースメーカ植込み治療が基本である。国内では、年間35,000〜40,000人もの患者が新規にペースメーカ植込み治療を受けている。ペースメーカ患者の心電図判読の基本は、心房と心室をペーシング(心臓刺激)し、センシング(自己心拍の認識)することである。設定により、植込まれたペースメーカは、自己心拍をセンシングし、自己心拍が無い場合にはペーシングすることになる。通常これらは植込まれたリードの部位(右心耳と右室心尖部)でなされるが、最近は、ペーシング部位により血行動態への影響や心房細動の予防を考慮する目的で、心房中隔や心室中隔部位にリードを植込むことも多い。ペースメーカ心電図の判読に当たっては、ペーシング時のP波やQRS波形から心房・心室のリード植込み部位の認識が可能である。
 最近は、Dual-chamberペースメーカが主流であるため、心房細動発生時に心房トラッキングにより心室ペーシングが異常に増加することを防止する目的で、各社のペースメーカには自動モード変換機能が備わっている。従って、イベント発生時のペースメーカ作動は通常設定時と異なる作動をすることを知っておく必要がある。また心房期外収縮が発生するとその後に発生する心房細動を予防する目的で予定されるより早期に強制的に心房ペーシングが作動する機能もある。このように現在のペースメーカには、あらゆる不整脈に対しての予防機能や治療機能が備わっているため、ペースメーカ心電図の判読にはペースメーカ設定の熟知が必要となる。逆にペースメーカが植込まれていることによって新たに発生するペースメーカ起因性不整脈の存在も知っておく必要があるだろう。
 本講演会では、ペースメーカ心電図の正常作動、植込まれたリード部位の違いによる心電図波形の見方、心房細動発生時のペースメーカ作動、ペースメーカ起因性不整脈の種類と予防対策、等について基本的事項を学習することが目的である。

漕ぎ出でよう!心電図という海原へ


里見 和浩(東京医科大学循環器内科)


 心電図は苦手ですという医療者は多い。心電図の読み方を説く本は世の中にあまたとある。苦手なのに習得しなければいけない課題であるがゆえに、多くの書籍が出版される状況は、日本人にとっての英会話と同じ状況なのかもしれない。
 心電図の読み方に王道はない。基本的な読み方を覚えたら、後は自らの力で多くの経験を積んでいくしかない。
 本講座では、心電図をいかにして読むかという課題を克服するに、もっともふさわしいお二人に演者をお願いした。香坂俊先生は、「もしも心電図が小学校の必修科目だったら」など、わかりやすい書籍の著者であり、心電図の成り立ちや、読み方をライブ感覚でお話しいただける。江島 浩一郎先生は、不整脈治療の専門家であり、実際の症例をもとに不整脈の診断から治療までを解説いただける。香坂先生の講義で基本をつかんだら、江島先生のお話で実践に移してみよう。

 明日からは、きっと苦手だった心電図を、ちょっと手に取ってみようかなという気持ちになっていただけるだろう。本講座が多くの方にとって、心電図という海に乗り出すための羅針盤となることを祈る。

心電図を系統的に捉えるために:現代的な読影法を探る


香坂 俊(慶應義塾大学医学部循環器内科)


 心電図のテキストや成書を開いても、読んでいるこちらの方がドキドキしてきてしまう。さらに読み続けると、STと意識が低下してくる。このような有害事象は何も初学者に限ったことでなく、どのレベルの医療関係者であっても経験することではなかろうか(?)。
 心電図の学習は、まずはP波からQTまで、それぞれの心電図のパーツの意味を理解することから始まる(①)。その特徴をだいたいおさえたところで、今度はそれぞれのパーツの相互の関係を把握する必要がでてくる(②;不整脈や二次性の変化等)。そしてそれを完全に把握した後でも、今度は数多くの所見を毎日の読影の中で見逃さないためにはどうすればよいかというところに心を悩ませることとなる(③)。
 循環器内科医になって10数年になる演者であるが、いまだ①から③までを完全に網羅する心電図の読影法というものは身に付けられずにいる。ただ、最近になって、本当に意味のある心電図所見というのはそれほど多くはないのではないか、ということは感じている。
 今回の講座では、実際に循環器内科医がどのようなことを考えて心電図を読んでいるのがということを、健診、病棟、救急という3つの場面別に考えていくこととしたい。

実際の症例から学ぶ不整脈の心電図診断から治療まで


江島 浩一郎(東京女子医科大学循環器内科)


 心電図の解釈はとかく難しいと敬遠されがちであり、不整脈の心電図となるとなおさらハードルが高いと思われることが多いでしょう。千里の道も一歩から。まずはできるだけ単純に考えて、気楽に取り組んでみましょう。順序立てて焦らずじっくり考えれば、必ずや診断にたどり着くことでしょう。細かい枝葉の知識は後からつけていけばよいのです。また、心電図で診断がついた不整脈のその後の治療までイメージができると、より一層興味が湧いてきます。
 今回は、基本的な不整脈の心電図診断とともにその治療までを、実際の症例を通して解説していきます。この講座をきっかけに、不整脈への苦手意識をなくし、さらなる興味を持っていただけたら幸いです。

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筑波大学 医学医療系 臨床医学域 循環器内科
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