臨床心電図解析の実際 - 不整脈編 第5章
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2.心室頻拍ECG V033(12誘導を6誘導ずつ連続記録)一見、心室期外収縮の3連発と思われるが、3連発直後の心拍(F1、F2、F3)を注意深く観察すると、洞収縮(S)とはRの高さ、Sの深さ、T波の極性などが微妙に異なっていることに気付く。特にF3は、V1-V3で明らかなように直前のEと直後のSのちょうど中間的な形を呈しており、洞収縮(S)と期外収縮(E)の融合収縮(fusion beat)であることが分かる。したがって、本例の心室期外収縮は3連発ではなく4連発であると考えられ、洞収縮1個を挟んで心室期外収縮の4連発が繰り返し出現するincessant型心室頻拍と診断される。右脚ブロック左軸偏位型QRSの特発性心室頻拍で見られた興味深い所見である。    447

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