臨床心電図解析の実際 - 不整脈編 第5章
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心電図 こぼれ話第25話 QT時間の補正 心電図のQT時間が心拍数の影響を受けて変動することはよく知られた生理学的現象である。臨床的意義のあるQT時間の評価のために古くからBazzetの補正式が用いられてきた。近年ⅠKr遮断作用に基づく薬剤性QT延長症候群が世界的に注目され、あらゆる新薬開発の治験に際してQT時間への影響をより詳細にかつ客観的に評価することが求められるようになってきた。Bazzet式では心拍数が多い場合はより長めに、少ない場合はより短めに過補正されることから、最近はFridericia式を始めとする他のいくつかの補正方法が推奨されている。どの補正方法が本当に適正なQT時間の評価に結び付くのか、まだ結論は得られていないようである。

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