心電図 こぼれ話第30話 夜討ち朝駆け 洞不全症候群における洞停止が夜間に起こりやすく、その心停止時間も夜間で長いことはよく知られており、迷走神経の関与が強く示唆されている。30年ほど前、overdrive suppression現象に迷走神経がどの程度かかわっているかが話題になり、患者さんの睡眠中にoverdrive suppression testを夜間2時間ごとに行ったことがある。ある若い医師が駆り出されて、消灯後真っ暗な大部屋にこっそり入り、懐中電灯を頼りに心房に留置された電極カテーテルを用いて、ごそごそと体外式ペースメーカーを作動させて心電図を記録した。後日、その成果は彼の学位論文に結びついたのだが、今では考えられない仕事である。
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