臨床心電図解析の実際 - 不整脈編 第4章
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心電図 こぼれ話第21話 巻物は宝物? 木村栄一先生が心電図を大切にされていたことは前に紹介したが、それを最もよく示すのがP波のよく見える誘導を一つ選択して、長時間にわたって心電図を連続記録した不整脈心電図の巻物である。数十メートルに及ぶ巻物を解きながら、時折ディバイダーを用いて細かく分析され、遠巻きにする我々医局員に解説していたものである。解析が終わると若い医局員が巻き戻しを指示されるのでだが、これが大変な仕事で、巻き方が悪いと、「失格!やり直し!」の声が飛ぶ。興味ある所見の宝庫である心電図を疎かにしてはいけないという教えで、小生もきちんと巻けるようになったころには不整脈解析の虜になっていた。

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