臨床心電図解析の実際 - 不整脈編 第4章
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第4章 房室接合部性不整脈ECG J004(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、誘導の一部を拡大)R1、R2及びR5-7は陽性P波で、PR短縮と明らかなデルタ波が見られることから、洞収縮と考えられる。R1-R2間隔は0.94秒、R5-R6は0.74秒、R6-R7は0.66秒と多少の変動はあるが洞性不整脈であろう。R3は連結期0.5秒の早期収縮で、先行するP波はないがQRST波の形が洞収縮に類似していることから、房室接合部期外収縮と判断される。注目すべきはR4で、QRS幅は狭く波形も他の心拍とはまったく異なる。P波は見られず、先行RR間隔が1.02秒と長いことから、期外収縮の回復周期が長いために出現した房室接合部補充収縮のように思われる。R3とR4でQRST波の形がまったく異なるのは、期外収縮はケント束近傍から、補充収縮はヒス束近傍から出現したと考えれば説明できそうである。 276

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