1.心房(上室)期外収縮ECG A019 (Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ誘導の一部を拡大)先ず、▼で示す期外収縮と思われる心拍が3拍見られ、その後心拍数約150/分、洞収縮と同じQRS波の規則正しい頻脈(発作性上室頻拍)が起こっている。▼1と▼3はQRS波の前に異所性P波が見られることから心房期外収縮、▼2はQRS波の幅は広くないが形が少し異なり、異所性P波が前になく間入性であることから房室接合部期外収縮と判断される。ではなぜ▼3の後、発作性上室頻拍が起こったのであろうか? 少し難しいかもしれないが、不応期(ひとたび興奮すると、その後しばらくの間刺激が伝わっても興奮しないという性質)という概念を考える必要がある。洞収縮S1の後、それぞれ□で示す時間が不応期であると仮定する。一般的な不応期の性質として、直前のRR間隔が短縮すると次の不応期が短くなるので、▼2の間入性期外収縮でRR間隔が短縮し、S2の不応期が短くなる。そのため、通常であれば不応期にぶつかって非伝導性となる○の心房期外収縮が、長いPR時間で心室に伝導したと判断される。さらに、▼3の不応期S3が一層短縮し、◎の心房期外収縮がさらに長いPR時間で心室に到達した際に、房室結節の一部の伝導路に一方向性ブロック(順方向は伝導しないが逆方向は伝導する)を生じる。その結果、興奮の旋回(リエントリー現象)が起こって、発作性上室頻拍が誘発されたと解釈される。135
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