臨床心電図解析の実際 - 不整脈編 第3章
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第3章 心房性不整脈ECG A046(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ誘導の一部を拡大)F波は基線レベルから下向きに振れた後、急峻に戻る不等辺逆三角形を呈し、興奮頻度は約320/分に達する。このような形と頻度のF波(↓)を示す心房粗動を通常型と呼ぶ。QRS波(↑)は正常で幅は狭く、F波4個に1個の割合で規則的に等間隔で出現している。すなわち、心房興奮が4回に1回心室に伝導されており、4対1伝導の心房粗動と判断される。本例のように4対1伝導の通常型心房粗動は、最も高頻度にみられるタイプで、心拍数70~75/分の規則的な心拍が持続するためあまり自覚症状が強くない。本人も担当医も長く気づかないことがあり、心電図を記録して初めて診断されることも少なくない。   204

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