臨床心電図解析の実際 ― 不適切自動診断編
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ⅠⅡⅢ6V6aVRaVLaVFV1V2V3V4V5実際の心電図所見は、心拍数60/分の「正常洞調律」である。「不完全右脚ブロック」という自動診断はどこからなされたのであろうか。V1誘導の第2拍、矢印部分に基線の動揺()があり、これをQRS波の一部ととらえてrSr’型と認識した可能性、V5誘導のS波()を重要視した可能性、QRS幅を110msecと長めに測定した可能性などが挙げられるが、いずれも過大評価で「右脚ブロック」とは到底考えられない。「時計回転」に関しても、V3誘導のR波とS波の振幅がほぼ同じ()で、移行帯がやや上方に偏位しているともいえることから診断されたのであろうが、臨床的にはほとんど意味のない所見である。いずれにしても、心電図所見の読み過ぎによってもたらされた混乱といえよう。読み過ぎ-1 Answer

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