V1ⅠⅡⅢV3V4aVRaVLaVFV2V5V670本例では、「心房細動」に対して長期間に亘ってβ遮断薬による心拍数調節治療を行っており、前回受診時までは心拍数70~80/分程度にコントロールされていたようである。「心房細動」が慢性化するとf波の振幅が小さくなることはよく経験されるが、この心電図では前回まで明らかに確認できたf波がまったく見えず、基線は12誘導すべてで完全にフラットである()。すなわち「心房細動」ではなく、心房興奮がまったく消失した状態「心房静止」と判断すべきであろう。「心房静止」には一部の心房興奮が残存している「部分的心房静止」と心房興奮がまったくない「完全心房静止」があり、「完全心房静止」では心房の興奮がすべて消失しているため下位中枢が働き、「完全房室ブロック」と同様「房室接合部ないし心室補充調律」を呈する。本例の調律は、「完全心房静止」によってもたらされた心拍数54/分の規則的な「房室接合部補充調律」と判断される。「心房静止」に関連する自動診断に関しては、適切な診断アルゴリズムが構築されていない可能性がある。アルゴリズム不備-7 Answer
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