臨床心電図解析の実際 ― 不適切自動診断編
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V1V2ⅠⅡⅢV3V4V5aVRaVLaVFV666P波()とQRS波()はそれぞれ65/分および42/分の頻度で規則的に出現しており、両者はまったく無関係で完全房室解離の状態であることから、「完全房室ブロック」+「心室補充調律」との診断は難しくない。自動診断結果の「心房粗動」や「心室期外収縮」は、いったいどこから導き出されたのであろうか。診断アルゴリズムに大きな問題がありそうである。また、「完全右脚ブロック」に関しては胸部誘導のQRS波の形から診断したと思われるが、そもそも完全右脚ブロックは房室伝導が1対1に保たれていることが必須条件であり、診断アルゴリズムの不備は免れない。「調律不明の徐脈」は何とか理解できるが、極めてあいまいな表現であり、適切な治療が遅れる危険性がある。「調律不明」に逃げるのではなく、「完全房室ブロック」を確実に診断できる診断アルゴリズムの改良が急務である。アルゴリズム不備-5 Answer

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