臨床心電図解析の実際 ― 不適切自動診断編
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V2V3V5V4V6aVRaVLaVFV1R1R2R3E1R4abⅠⅡⅢ64R5R6R7R8E2自動計測ではPR207msec、QRS123msecと記載されており、どこをどのように評価して「房室ブロックⅡ度(ウェンケバッハ)」との診断に至ったのであろうか。コンピュータアルゴリズムに首をかしげざるを得ない。心電図を細かく見ると、RR間隔はR2-R3がほかより長く、R7-R8がほかより短いことがわかる。これらは青矢印()で示す部分で心房期外収縮(E1、E2)が発生し、E1は非伝導性でQRSが脱落したためにRR間隔が長くなり、E2は通常に心室まで伝導したためにRR間隔が短くなったと考えれば簡単に説明できよう。では赤括弧()で示す部分a、bにおける細かい基線の揺れはどのように考えればよいのであろうか。E1で示したように本例では連結期の短い心房期外収縮は非伝導性になる可能性が高いことから、黒矢印()で示す部分にそれぞれ極めて連結期の短い心房期外収縮が5個連続して出現しており、aでは5拍目、bでは4拍目の期外収縮が心室まで伝導したと考えることができるかもしれない。いずれにしても、このような一過性の変化は、コンピュータが最も苦手とするものである。アルゴリズム不備-4 Answer

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