臨床心電図解析の実際 ― 不適切自動診断編
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ⅠⅡⅢV3V6V4aVRaVLaVFV1V2V558最初は赤矢印()のP波を読み落とし、青矢印()のU波をP波と誤認したためと考えたが、自動計測結果を詳細に見たところ、PR間隔119msecと正確に計測されており、P波の認識に問題はなかった。心拍数49/分の徐脈ではあるが、洞性P波を認め、やや短いもののPR間隔が一定であることから、単なる「洞徐脈」としてよい所見である。これを「完全房室ブロック」と判断したコンピュータの診断アルゴリズムに問題があると考えざるを得ない。「完全房室ブロック」の診断は、原則として①P波とQRS波が無関係に出現する完全房室解離の状態で、②PP間隔はRR間隔より短く、③RR間隔一定の徐脈(房室接合部性ないし心室性補充調律)を呈することである。本例はいずれにも合致せず、「完全房室ブロック」と自動診断された理由は定かではない。アルゴリズム不備-1 Answer

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