臨床心電図解析の実際 ― 不適切自動診断編
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V2V3ⅠⅡⅢV4V5V6aVRaVLaVFV138赤矢印()で示すように、すべてのQRS波の前に明確にペーシングスパイク信号を認め、「ⅤⅤⅠペーシングリズム」であることは明らかである。コンピュータがこれを見落としたために、上記のような不適切診断が次々と表示されることになった。胸部誘導の3拍目を「心室期外収縮」としたのはよいとして、まず、洞不全症候群のため明らかなP波が確認できず「調律不明」、QRS幅が140msecと延長しているものの典型的な右脚ブロックや左脚ブロックパターンには合致しないことから「非特異的心室内伝導障害」、Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導で幅広いQS型と判断し「下壁心筋梗塞(時期不明)」、肢誘導の電気軸から「左軸偏位」と表示されたが、いずれも右室心尖部からのⅤⅤⅠペーシングに伴う所見として説明がつくものである。ペーシングスパイクを見落とすと、実に様々な不適切診断が現れることがあり、臨床現場では十分な注意が必要である。読み落とし-8 Answer

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