臨床心電図解析の実際 ― 不適切自動診断編
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V1ⅠⅡⅢV4V5V6aVRaVLaVFV2V336心電図をよく観察すれば、赤矢印()に示すようにQRS直前にペーシングスパイク信号が明確に確認され、「心室ペーシングリズム」であることが明らかである。ペーシングスパイクに続くQRS波は幅広く、左脚ブロック、上方軸型で、右室心尖部からのペーシングであると判断される。自動診断ではペーシングスパイク信号を読み落としたために、Ⅰ、aVR、aVL誘導を除くほとんどの誘導でQS型と判断し、「前壁中隔、側壁、下壁の心筋梗塞」という不適切診断に至ったと考えられる。ペーシングスパイクのような高周波で振幅が小さい信号は、しばしばノイズとの区別が難しく、少しずつ改良されてきたとはいうものの、いまだにコンピュータが最も苦手とするものの一つである。読み落とし-7 Answer

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