臨床心電図解析の実際 ― 不適切自動診断編
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ⅠⅡⅢV3V4V5V6aVRaVLaVFV1V224心拍数70/分の「正常洞調律」である。生来健康で、重大な疾患の既往もない。自動診断で前壁中隔梗塞を疑われたのは、おそらく赤矢印()で示すV1~V3誘導の小さなr波(pointed r)をコンピュータが読み落としQS型と判断したため、前壁中隔の陳旧性心筋梗塞の可能性があると診断したものと考えられ、このような誤診は比較的高頻度に見られる。類似した所見として「R波増高不良」と記載されることも多いが、より正確に陳旧性前壁中隔梗塞と診断するにあたっては、明らかにQS型かあるいはR波の振幅がV1>V2>V3でかつST偏位やT波の陰転を伴っている場合に限る、としてもよいかもしれない。読み落とし-1 Answer

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