臨床心電図解析の実際 ― 不適切自動診断編
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V1V2V3V5aVRaVLaVFV4V620RR間隔()を見ると④および⑧で突然延長しており、その際の前後のPR間隔が約160msecで変化がないことから、コンピュータは「モビッツⅡ型第2度房室ブロック」と診断したと考えられる。しかし、房室ブロックの診断に不可欠のP波に続くQRSの脱落は、まったく観察されない。赤丸()で示す基線部分のどこを見ても、P波らしい信号は見当たらず、「モビッツⅡ型第2度房室ブロック」の診断は明らかに誤りである。④および⑧の突然のRR間隔延長がPP間隔の延長によってもたらされていることから、「洞房ブロック」の可能性はないだろうか。本例ではPP間隔とRR間隔が等しいので、④および⑧のRR間隔が③および⑦の2倍ないし整数倍になっていないかを調べると、それぞれ1.7倍、1.6倍程度であり、「洞房ブロック」も否定的である。周期的にRR間隔が微妙に変動している点からも、「洞不整脈」と判断するのが最も妥当なのかもしれない。⑤⑥⑦⑧①②③④ⅠⅡⅢ読み過ぎ-8 Answer

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