V1V2ⅠⅡⅢV3V4V6aVRaVLaVFV514心電図所見からは、リズムは「4対1伝導の心房粗動」で、「陳旧性前壁中隔心筋梗塞」があると診断される。なぜ、「WPW症候群」という不適切診断に至ったのであろうか。まず矢印部分に注目すると、QRS直前に心房粗動によるF波と思われる成分()があり、これをWPW症候群におけるデルタ波と誤認した可能性が高い。また本例で特に留意しなければならないのが、WPW症候群と診断したことによって他の重要所見〔V1~V3誘導のQSパターン()やV5~V6誘導のST低下()〕がすべてマスクされてしまっている点である。なおV5~V6誘導のST部分に関しては「盆状低下」であることから、心筋虚血を反映するものではなく、心房細動、心房粗動に対して用いられていたジギタリス製剤の影響と考えられる。本例のように、一つの診断がなされるとほかの異常所見がマスクされてしまう例は多数あり、診断プログラムの改良が必要である。読み過ぎ-5 Answer
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