臨床心電図解析の実際 ― 不適切自動診断編
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V1V2ⅠⅡⅢV3V4V5V6aVRaVLaVF10過剰診断の原因として、まず赤矢印部分()にあるU波をP波と誤認し、続くQRS波がないこと、前後の心拍のPR間隔が210msecで一定であることから、「第2度房室ブロック(Mobitz Ⅱ型)」との診断に至ったと考えられる。虚血性心疾患を疑わせるST低下もあり、担当医は重症度の高い房室伝導障害への進展を憂慮して、患者を転送してきたと思われる。しかし、赤矢印部分()の波形を見ると、他の洞性P波の波形とは明らかに異なっており、先行心拍にも青矢印()のように類似した波形が観察されることから、これらを目視でU波と診断するのは難しくない。自動診断におけるU波とP波の鑑別アルゴリズムを再構築する必要があるかもしれない。また、矢印の2~3拍前から徐々にPP間隔が長くなっていることから、不整脈診断としては単なる「洞不整脈」と考えてよいであろう。読み過ぎ-3 Answer

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