臨床心電図解析の実際 - 複雑な心電図の解析編
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58複雑な心電図の解析編頻拍・頻脈-6 AnswerV1V1誘導で明らかなように、QRS波のみが1拍ごとに陽性()、陰性()を繰り返す二段脈を呈している。心房房室結節心室AAABBBAAABBBV1V1誘導の一部を拡大した。QRS波は陽性(B)と陰性(A)を交互に繰り返しているが、P波およびT波の形態は常に一定で特に変動はみられず、PR時間、QT時間も一定である。QRS波の形を細かくみると、rS型(A)とrsR’型(B)が交互に出現していることがわかる。このような交互変化はⅡ、Ⅲ誘導では明らかではない。すなわち、V1誘導のQRS波後半部分のみが交互変化を示していることから、下段のラダーダイアグラムのように、右脚の不応期が延長したことによる1拍ごとの右脚伝導遅延を反映する所見の可能性が考えられる。

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