臨床心電図解析の実際 - 複雑な心電図の解析編
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32複雑な心電図の解析編異所性収縮-4 AnswerⅠⅡⅢAAAAABBBBBBB一見、洞不整脈のようにみえるが、注意深くP波を観察すると、Ⅲ誘導で陽性のtype Aと陰性のtype Bの2種類があることがわかる。Aは洞結節由来の正常心拍、Bは異所性心房由来の早期収縮のようであるが、単なる心房期外収縮にしては、Bが連続する後半部の説明が難しい。ⅡⅢA1A2A3A4A5B1B2B3B4B5B6B7P波の違いをわかりやすくするために、Ⅱ、Ⅲ誘導のみを取り出し縦方向に拡大して計測してみたところ、異所性心房収縮のBに関しては、B1-B2、B2-B3、B4-B5間隔はいずれも約2秒()、B3-B4、B5-B6、B6-B7はいずれもその半分の約1秒で一定のようである()。単なる心房期外収縮ではなく、心房副収縮(atrial parasystole)と考えてよさそうな所見である。矢印部分()で異所性心房収縮が出現しないのは、心房の異所性中枢から周辺の心房筋への進出ブロック(exit block)のためと考えれば、説明可能である。

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